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【本を読む】ミルトン・エリクソン入門 第一章2-1 治療者の姿勢:柔軟性

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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ミルトン・エリクソン入門を読む

WHオハンロン著「ミルトン・エリクソン入門」(金剛出版)という本があります。

この本は、ブリーフセラピーの源流になったと言われる天才的な精神科医ミルトン・H・エリクソンのアプローチについて、著者の目線からまとめられており、僕自身の臨床の中で一番大きな影響を受けている本の一つです。

自分の臨床を見直すという意味でも、ミルトン・エリクソンについて多くの方に知っていただくという意味でも、この本に書かれていることを紹介しつつ、自分なりにコメントを書いて行こうかと思います。

関心の在る方はお付き合いください。

前回はこちら。

【本を読む】ミルトン・エリクソン入門 第一章1-5 現在及び未来志向

エリクソン臨床の特徴:治療者の姿勢その1 柔軟性

WHオハンロン著「ミルトン・エリクソン入門」(金剛出版)ではエリクソンの強調する治療者としての姿勢として、柔軟性、従来の考え方への挑戦、治療の結果に対して責任を負うこと、を挙げています。

今回はこのうちの柔軟性(Flexibility)について解説いたします。

柔軟性(一人一人に合ったやり方をしつらえる)

 

初期の催眠研究の中で、エリクソンは、治療者の行動が柔軟であることの大切さに気づいた。エリクソンが自分の行動やコミュニケーションの仕方を変えると、被験者の体験に大きく影響することを発見したのである。

(中略)

彼は、この発想を臨床の中にも応用していった。もし今やったことで、期待される反応を引き出せなかった場合は、エリクソンはまた別のことをやってみるのであった。彼は、変化を引き出すのに、いかなる理論にも縛られなかった。

出典:ミルトン・エリクソン入門 第一章P24

エリクソンは人間の行動や考え方、当時の病因論について、なんら確実性があるものはないと考えていたようです。

技法や理論、仮説に執着するのではなく、その人一人一人に合ったやり方、その人の独自性に合わせた心理療法のやり方を常に創造しつづけていくことの重要性を強調しています。

私達心理臨床家は、ともすれば自分の専門とする理論や考え方を、相談に来た方に当てはめて考えてしまうことが多いのではないでしょうか。

親子関係を扱うことも、コミュニケーションを扱うことも、行動を扱うことも、無意識を扱うことも、それぞれの良さと欠点があるものですが、相談に来た方のニーズや、その人らしさに合っているかどうか、というところが一番大事で、そこをクリアした上での理論や技法であるべきかと思います。

相談に来た方に対して自分の理論を押し付けることの危うさについて、プロクルーステースの寝台という逸話がよく挙げられています。

プロクルーステースの寝台

プロクルーステースはエレウシースの外側の丘にアジトを持っていた。そこには、鉄の寝台があり、通りがかった人々に「休ませてやろう」と声をかけ、隠れ家に連れて行き、寝台に寝かせた。もし相手の体が寝台からはみ出したら、その部分を切断し、逆に、寝台の長さに足りなかったら、サイズが合うまで、体を引き伸ばす拷問にかけた。

出典:wikipedia

もちろん、すべての理論に精通することは出来ないわけですし、自分の持っている武器でカウンセリングを行うことしか出来ないわけですが、少なくともこのやり方は本当に相談に来た方に合っているのかどうか、きちんと方法について同意が取れているかどうか、(スターティングクエスチョンの仕方やインフォームドコンセントの重要さの話ですよね)ということについては、もっともっと慎重になるべきだと、自分のことを振り返ってもそう思っています。

観察と仮説のアップデート

クライエントに合わせた柔軟性のベースには、細かな観察と見立てが必要になります。

エリクソンは観察の重要性を強調していますが、自分で立てた仮説や各種理論についてと同じように、その観察を信じすぎないこと、についても強調しています。

観察すること、仮説を立てることと、更に観察を重ねることでその仮説を常に棄却し、アップデートを重ねることを面接の中でも絶えず繰り返すことがいちばん大事なのではないかと思います。

まとめ

エリクソンはその仮説や観察が正しいかどうかよりも、役に立つかどうかということを重要視していたと言われています。

学べば学ぶほど人は頭でっかちになってしまうこともありますし、自分の学んだことについて誇りを持つことは大事ですが、そのことで他の考え方を受け入れられなくなってしまったら、それは多職種連携や協働という文脈ではマイナスでしかありませんし、ひょっとしたら相談に来た方の利益にならない選択をしてしまう可能性もあります。

学びながら、学んだことについて誇りを持ちながら、柔軟さを担保するためには、在る種のプラグマティズム、相談に来た方にぴったりなもの、役立つものはなんだろう?という発想が常に役に立つのではないかと思います。

 

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