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【本を読む】ミルトン・エリクソン入門 第2章その2 患者の興味や動機を利用すること

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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ミルトン・エリクソン入門を読む

WHオハンロン著「ミルトン・エリクソン入門」(金剛出版)という本があります。

この本は、ブリーフセラピーの源流になったと言われる天才的な精神科医ミルトン・H・エリクソンのアプローチについて、著者の目線からまとめられており、僕自身の臨床の中で一番大きな影響を受けている本の一つです。

自分の臨床を見直すという意味でも、ミルトン・エリクソンについて多くの方に知っていただくという意味でも、この本に書かれていることを紹介しつつ、自分なりにコメントを書いて行こうかと思います。

関心の在る方はお付き合いください。

 

現行パターンのユーティライゼーション

エリクソンは、患者の行動や体験の仕方のパターンを見つけて、変化を起こすためにそのパターンを利用するという方法をとってきました。

エリクソンがいついかなる時でも利用すべきと言っていたのが以下のようなものでした。

a)患者の言葉

b)患者の興味と動機

c)患者の信念と準拠枠

d)患者の行動

e)患者の症状

f)患者の抵抗

出典:ミルトン・エリクソン入門 第2章P34

これを見ると、どれだけエリクソンが、患者の中にあるものを、良いもの悪いものとわけずに、まるごと活かそうとしていたのがよく分かると思いますし、これを強調していた事自体が、そういうメッセージだったのではないかと思います。

 

患者の興味や動機を利用すること Utilizing the Patient’s Interests and Motivations

 

彼は患者のモチベーションが足りないと嘆くかわりに、彼らが興味を抱くものは何か、どんなことに動機づけられているのかを見つけ出し、それを治療に結びつけていこうとしていた。

出典:ミルトン・エリクソン入門 第2章P35

エリクソンは患者に理論や考え方を押し付けるのを好まず、患者の中にあるものを探すこと、それを彼らのために利用することを好んでいたように思われます。

そしてエリクソンは全くやる気のないかのように見える患者の中に、沢山のリソースを発見することが出来たのではないでしょうか。

この本にある2つの事例を紹介します。

事例1

健康上の理由で警察官を退職した男性について「体型を戻すためにランニングをしたい」と主治医に申し出たところ、彼の持病と肥満と飲酒、喫煙習慣を理由に「ランニングは大変危険である」として許可をしてもらえず、歩くことについては許可されているという状態だった。

その主治医は彼には精神科的な問題が在るとして、彼をエリクソンに紹介した。

エリクソンは男性が彼の住居のすぐ近くの商店で食料品や酒タバコを買っていることを知って、こんな提案をした。

それは・・・

「タバコは一度に一箱を買うこと」

「食料品は半マイル先にある食料品店で買うこと」

「酒は1杯飲んだら1マイル、1杯ごとに1マイル歩くのならば何杯でも飲んで良い」

というものだった。

 

エリクソンは、酒や煙草を取り上げるのではなく、彼に歩く機会を与えた、とコメントしていたようです。患者の飲酒やタバコの習慣もリソースとして扱い、彼が得たかった健康と、そのための運動に結びつけたのではないでしょうか。

主治医は精神科的問題だと見立ててエリクソンに紹介したのですが、エリクソンは彼の生活パターンの中に彼が健康を損なう理由があると考えたようです。

 

事例2

エリクソンの弟子のザイクは、エリクソンの助言を受け、事業を手放そうとしている女性に、事業を続けるようにアドバイスをした。「それが子どもにとって良いお手本になる」と。この女性にとっては子どものモデルになるということは大変に重要なことであったようだった。

 

エリクソンはこの女性のことを元々知っていた(この女性と家族を診たことがあった)ようです。彼女にとって最も関心のあることは事業ではなく子どもであったと、エリクソンは知っていたのでしょう。

まとめ

在る種の臨床家は、治療にモチベーションを持つことを患者の仕事とみなしているようですし、たしかに最初に相談を受ける人間にモチベーションが無いことには何も始まりません。

しかし、何らかの理由で一歩治療に踏み出せなかったり、そこに集中できないでいる方に対して、彼が取り組みやすくなるような働きかけや、セッティングを治療者側が行うことは、相談に来た方にとって利益の在ることではないかと思います。

その人の興味や関心を知って、それを治療のセッティングに入れ込むことは、大きな副作用がなく、治療過程を相談に来た方にとって苦痛の少ないものにすることでしょう。

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