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【本を読む】ミルトン・エリクソン入門 第2章その5患者の症状を利用すること Utilizing the Patient’s Symptom(s)

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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ミルトン・エリクソン入門を読む

WHオハンロン著「ミルトン・エリクソン入門」(金剛出版)という本があります。

この本は、ブリーフセラピーの源流になったと言われる天才的な精神科医ミルトン・H・エリクソンのアプローチについて、著者の目線からまとめられており、僕自身の臨床の中で一番大きな影響を受けている本の一つです。

自分の臨床を見直すという意味でも、ミルトン・エリクソンについて多くの方に知っていただくという意味でも、この本に書かれていることを紹介しつつ、自分なりにコメントを書いて行こうかと思います。

関心の在る方はお付き合いください。

以前に基本原理のユーティライゼーションのところでもいくつか事例を挙げて解説しました。

患者の症状を利用すること Utilizing the Patient’s Behavior

第一章で紹介した隙っ歯の若い女性のケースは、症状、この場合は隙っ歯と自殺念慮、を利用して治療を促進させた一例である。このケースの場合、治療を促進するのみならず、治療目標に直接影響を与える形で、2つの症状がともに利用されている。つまり、エリクソンの指導の下で、症状が解決法に変わってしまったのである。

出典:ミルトン・エリクソン入門 第2章P40より

事例

前歯にすきっ歯が有ることを気にして、自分は醜くて結婚もできないと悲嘆し、自殺の計画を立てていた女性のケース。

エリクソンは彼女にはいくらかの貯金があることを知って、死ぬ前に思いっきり奇抜な格好をするのにお金を使ってみるのはどうかと提案。すぐブティックを予約し、彼女に服を買わせ、美容院にも行かせた。さらにすきっ歯の間から水を飛ばして2mくらい先にある物に正確に当てられるように練習させた。

彼女は仕事場では誰ともしゃべらず、積み上げられた本の隙間に顔をうずめるように仕事をしていた。彼女の唯一の安らぎである給湯室のティータイムに最近なぜかある男性がやってくるようになり、彼女は彼が来るたびに毎回逃げ出していた。

エリクソンは「今こそ練習の成果を示す時がきました」とばかりに、彼女が一番好的な服を着て髪も化粧も整え出勤し、給湯室に男性が現れたら、その男性に向けてすきっ歯から水を飛ばして、死にものぐるいでその場から逃げることを指示した。

彼女は相当に嫌がったが、エリクソンに「今まで嫌なことばかりだったじゃないか、自殺をするなら死ぬ前にいい思い出が一つくらいあってもいいじゃないか」と説得され、その指示を実行した。

彼女が逃げ出すと、彼は追いかけてきて、彼女つかまえ、抱き寄せ、キスをした。彼女はその男性とデートに行き、うつ症状はなくなり、人間関係が築かれ、そしてとうとう彼女は結婚した。

事例の解説

このケースはアンコモンセラピーという本でも紹介されていて、そちらではこの男性が彼女に付き合いたいと申し出て彼女がそれを無視したことや、エリクソンが彼女のやけくそな気持ちを焚きつけるというところについても詳しく書かれています。

いちばん大事なところは、エリクソンが彼女が自殺したいと思っている気持ち、自分と世の中の絶望的な関係について、大事に扱ったところかと思います。

「自殺する前に一度カウンセリングでも受けてみようかと」という流れでカウンセリングに来た人に対しては、多くの場合は自殺を思いとどまるように伝えたり働きかけたりするのではないでしょうか。

エリクソンは、彼女の自殺する予定、という前提を使って「どうせなら無茶なことをしましょう」と、ブティックに行かせて身なりを整えたるというような、変化を引き起こすための介入をしていました。

多分「あなたは隙っ歯が原因だと思っているけど、身なりをもう少し整えればとってもきれいになると思うわよ」的な助言では全く彼女は動かないわけです。
正しいのに相手の役に立たない助言、世の中にあふれていますよね。

エリクソンは、正しいかどうか、良いことかどうか、ではなく「変化に役立つかどうか」というところで、症状を見ているのがよくわかります。

まとめ

エリクソンは患者の持つ症状やスキルについて最大限の敬意と関心を持って、丁寧に見つめていたのではないかと思います。

なぜ隙っ歯から水を飛ばす練習をしたんだろう?ということについては、今もいろいろ考えていますが、まだこれだと確信できる答えを見つけられていません。

きっとこれからまた何年も考え続けることでしょう。

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