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傾聴からはじめよう:臨床心理学超基礎講座 (4/18開催)

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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傾聴からはじめよう:臨床心理学超基礎講座 (4/18開催)

傾聴できるかできないかで、相談に来た方の期待が調整されます。

つまり、ちゃんと話が聞けない人に相談しても現状が良くなる期待は得られないですし、これがずっと続くのか?と思うと、相談者としては気が重いですよね。

しかし、傾聴さえしていれば良いとは思いません。だからといって、傾聴をなんとなく、低い精度で行っていると、知らないうちに面接全体の流れに大きなブレーキをかけてしまっていることがあります。

たとえば、カウンセリングがなかなか続かない、一回で中断してしまう、理由のはっきりしない中断が多い、相談者との間でどうも話のリズムが合わない——そんな経験のある方は、実は最初の傾聴の段階でつまずき、その後の展開を難しくしてしまっているのかもしれません。

傾聴の目的と構造

今回の講座では、傾聴を〈行為〉と〈心の中の動き〉という二つの側面に分けて解説していきます。傾聴をなんとなく行うのではなく、その精度を高めていくためには、まず「面接」という構造の中で、セラピストが実際に何をしているのかを可視化することが重要です。その上で、傾聴という営みがその構造の中でどのように働いているのかを、あらためて捉え直していく必要があるのではないでしょうか。

傾聴の目的は「相手が話しやすくなること」

傾聴というと、「相手の話をじっくり聞くこと」と思われがちですが、実はその目的や構造を丁寧に考えてみると、より深い理解が得られます。まず、傾聴の目的とは何かというと、**「相手が話しやすくなること」**と言えるでしょう。これが案外、見落とされがちです。

「なんだ、そんなことか」と思われるかもしれませんが、この“話しやすさ”こそが、カウンセリングの質を左右する決定的な要素なのです。どれだけ優れた見立てや介入技術を持っていても、クライアントが安心して話せなければ、その力を発揮する場が生まれません。聞き手の態度や技術ひとつで、クライアントの語りの質が変わり、そこから得られる情報の解像度も変わってくるのです。

傾聴の「攻守交代」のプロセス

傾聴の構造には、「語り手と聞き手の攻守交代」があります。基本的にはクライアントが主導して語る時間が大半であり、セラピストは構造を整えながら、それを受け取る役割を担います。

ただし、語りがひと段落したときには、今度はセラピストが短く問いを立てます。この問いが次の語りを方向づけることになるのです。そしてまたクライアントが語り、セラピストは聴く。この往復運動が丁寧に繰り返されていくことで、やがて語りが構造を持ち始め、理解が深まっていきます。

問いはできるだけ短く、語りを妨げず、むしろ次の語りを生むようなものであることが望ましいです。全体のバランスとしては、クライアントの語りが7〜8割、セラピストの語りが2〜3割程度になると、自然な流れが保てます。

問いの質が表すもの

問いには、その人の“人間としての見識”が現れます。問いが浅ければ、受け手に不信感や違和感を与えます。逆に丁寧で真摯な問いは、クライアントに「理解されている」「考えてもらえている」という感覚を与えることができます。

特に注意したいのが、「相手に気づかせよう」という意図が前面に出すぎる問いです。これは無意識のうちに「あなたのことを私の方がよく分かっている」と言っているようなものです。このような問いは、たとえ意図的でなくても、相手にとっては“誘導”と感じられ、信頼関係を損ねてしまう危険があります。

仮説的な問いを立てる

大切なのは、問いを**“仮説”**として提示することです。「こういうことなのかもしれませんが、どうでしょう?」と丁寧に聞くことで、語り手に新たな視点を促すことができます。

仮説的な問いを立てるには、まず「クライアントが話したいことってなんだろう?」という姿勢が必要です。主訴が話の入口になることは多いですが、それをそのまま扱うのではなく、語りの中から本当に扱いたいテーマを見極めていく作業が求められます。

たとえば「夜眠れなくて困っている」という訴えがあったとします。もちろんそれ自体が困りごとですが、実際にカウンセリングで扱うべきテーマは、「眠れなさの背後にある不安」や「気持ちの高ぶりを鎮められない日常のパターン」など、より深い層にあることが少なくありません。

そこで私たちは、問いを通じて話を少しずつ分解し、扱いやすいサイズへと整えていきます。その中でクライアントと小さなコンセンサスを積み重ねていくことが、傾聴における問いの本質的な役割と言えるでしょう。


繰り返されることで積み上げられていく「語り」と「理解」

傾聴のやり取りの中で、語りはまるでピラミッドのように構造をもって積み上がっていきます。その底面を支えるのが、小さなエピソードごとのやり取りです。聞く—仮説をもとに問いを立てる—新たな理解についてコンセンサスを取る—新しい語り(「そういえば……」)が生まれる。この一連の流れが繰り返されることで、自然と語りの厚みが増していきます。

この繰り返しがうまく機能すると、クライアント自身が語る中で理解が深まり、語りが立体的になっていきます。そして、聞き手もまたその語りを通じて、理解を少しずつ積み重ねていくことができます。

ポイントは、仮説的な問いが「語りのひとまとまり」の切れ目で、自然に差し出されること。たとえば、「この話の中で、こういうところが何度も出てきますね」「この方との関係が気になりますが、何か思い当たることはありますか?」といった問いは、流れを止めることなく、新しい語りを引き出す助けになります。

抽象度の高い理解が生まれる

こうしてエピソードが連なっていくと、複数のまとまりの中から一段抽象度の高い**“理解”**が生まれてきます。「この方との関係が中心なのではないか」「自分の役割の感覚が影響しているのでは」といったテーマです。これらの抽象的な理解が得られると、またその理解をもとに新しい話題へと進んでいくわけです。

このようにして、傾聴によって生まれる問いと語りのループを回し続けていると、不思議なことに、欲しかった情報が自然と集まってくるのです。生活歴、家族歴、現病歴、社会的関係……。わざわざインタビューしなくても、クライアントの語りの中に、それらの情報が内包されてくるようになる。

そのとき大事なのは、構造的に語りが編まれていくことを信じること。そして、理解があるから問いが生まれるという順序を崩さないことです。

問いは方向をつくりますが、理解がずれていれば、問いもまた的を外してしまいます。聞き手の理論や仮説に無理やり引き寄せるのではなく、「クライアントが話したいこと」に、もう一度立ち戻る。そこを起点に語りを編み直していく。この姿勢が、傾聴における問いの実践には欠かせません。

まとめ

このように、傾聴というのは「聞く」行為のようでいて、実は**「関係を編んでいく」**プロセスです。その中心には、クライアントが「話しやすい」と感じられる環境をつくることがあります。

傾聴は、確かに心理的支援において基本中の基本、これができなければ何も始まらないくらい重要なスキルです。でも、傾聴一本やりでは多様な状況には対応しきれません。支援のプロセスを前に進めていくには、見立てや構造、関係性の維持といった他の力も必要になります。

最終的に、傾聴とは「相談に行きたい」「この人には話しやすいなあ」と感じてもらえるような、心地よく、安心できる時間を提供することです。相手にとって自然に話ができる、けれど失礼ではないという、絶妙なバランスをどうつくるか。その工夫と実践こそが、傾聴という営みの核心なのかもしれません。

傾聴に関する研修のご案内

研修日時:2025年4月18日 21:00~23:00(オンラインでの事後視聴も可能です)

場所:Zoomにて
テーマ:「傾聴からはじめよう」

詳細・お申し込みはこちらから:
研修詳細・申し込みフォーム

自分の臨床の中で「基礎のさらに手前のところ、発想や視点の切り替えについてもう少し成長したいな」と感じている方には、ぜひ『臨床超基礎講座』にご参加いただけたらと思います。

学校や通常の研修では、どうしても“その先”の内容にフォーカスされがちです。でも、この講座は、その“手前”の部分——基礎の基礎を、丁寧に扱う研修です。とはいえ、受けてみて「全然手前じゃないじゃん!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが……(そのときは、そっと苦情ください)。

講座は4月から始まります。現在の予定では、毎月第3金曜日の21時〜23時に開催予定です。

  • 第1回(4月18日):傾聴からはじめよう
     → 傾聴は知っているだけではなく、「できる」こととの間に大きな距離があります。解像度を一緒に上げていきましょう。

  • 第2回(5月16日):治療構造と転移
     → “治療の枠”をどう考えるかについて深掘りします(※変更の可能性あり)。

  • 第3回(6月20日):見立て
     → 「そんな見立てもアリなの?」と思ってもらえるような、面白い内容になると思います。

  • 第4回(7月18日):共感
     → 共感は奥が深くて、踏み込んでいくととても面白いテーマです。

  • 第5回(8月15日・お盆):理解を伝える(予定)
     → 言い方ひとつでクライアントの反応が大きく変わります。ここでは“抵抗処理”の技法にも触れられたらと思っています。

  • 第6回(9月19日):まとめと質疑応答
     → 全体の振り返りと、皆さんの疑問にじっくりお答えします。

そして、後半は10月17日から始まる『解決志向・超基礎講座』。どの理論的背景を持つ人にも役立つ内容を予定しています。

いずれの講座も、参加者の皆さんや、参加されない方の声も取り入れながら、今まさに作っているところです。「こういうところに困っている」といった声に応じて、内容を調整していきたいと考えています。

▼ 詳細・お申し込みはこちらから: https://pro.form-mailer.jp/lp/735d131a326854

また、講座準備の一環として、「カウンセリングに関する基礎的な困りごと(傾聴・関係づくり・治療構造など)」に関する情報を集めています。

実際の現場で感じていること、疑問に思っていることを、以下のアンケートフォームからお寄せください。

皆さまのお声をもとに、より実践的で役に立つ講座にしていきたいと考えています。

▼ アンケートご協力のお願い: https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc8RJ60vZgjrulKrvRrRF5VqnCZnZlFzgf6wBByqvrrBVj1gA/viewform?usp=sharing

それでは、またお会いできるのを楽しみにしています。

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