共感が失敗するとき その2 わからなさに耐えられないとき

共感とは、相手の気持ちを「わかること」ではなく、「わかろうとすること」。
前回の記事では、つい「わかったつもり」になってしまうことで、相手との距離がズレてしまうという共感の失敗について書きました。
今回はもうひとつ、「わからなさに耐えられないとき」に起こる共感のズレについて、考えてみたいと思います。
目次
Toggle相手の体験を内側からたどるということ
共感とは、ただ話を聞くだけではなく、その人がどのように世界を感じ、どんなふうに経験しているのかを、内側からなぞっていこうとすることです。
そのためには、「私だったらどう思うか」ではなく、 「この人はどのように感じたのか?」という視点に立つ必要があります。
言葉や表情、沈黙や声のトーンなど、相手の語りのすべてをヒントにして、 まるでその人の足跡をたどるように、体験の地図を読み解いていく。
でもそれは、とても不確かで、曖昧で、正解のない作業です。
不確かさに耐えきれず、つい…
「トレースしているつもりでもズレているかもしれない」 「そもそも本人もよくわかっていないかもしれない」
そんな不確かさに耐えられなくなると、私たちはつい、理解したことにしてしまう誘惑にかられます。
「なるほど、そういうことですね」
「あー、それは○○な気持ちですよね」
「わかります、わかります」
安心させたい気持ちや、自分の不安を落ち着かせたい気持ちから、 話を“まとめたく”なってしまうこともあります。
けれどその瞬間、相手はふと距離を感じてしまうかもしれません。
「うーん、そんな簡単な話じゃないんだけどな…」
「もうちょっと、聴いてほしかったな」
共感とは「わからない」を受け入れること
私たちは「わかること」に安心します。
でも、支援の場で本当に大切なのは、「わからないけど、わかろうとする」姿勢です。
そして、その“わからなさ”の中に、一緒にとどまること。
わからないことに怯えず、焦らず、 「ここにいてもいいですよ」と伝えるように、 その場にとどまり続ける。
それこそが、共感のもっとも人間的なあり方なのかもしれません。
次回は、「感情をなぞるだけでは終わらない共感」について考えてみたいと思います。
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