心理士のキャリアと成長 ― 経験・工夫・自己覚知の循環

援助の技術はキャリアを支える土台
心理職として生きていく上で必要な要素はいくつかあります。援助の技術、研究の能力、組織で働く力などです。その中でも「援助に関する技術」は、一生を通じて磨き続けるに越したことはありません。
援助技術が高まれば、より多くのクライエントの力になれるだけでなく、教育や研究の場に携わる可能性も広がります。働き方の選択肢が増え、人生の自由度が高まる。職業人としての幸福に近づくことにつながるのです。
成長は試行錯誤と失敗の連続
援助の技術を高めるには心理学の知識も必要ですが、何よりも多くのクライエントとの出会いの中で試行錯誤を重ねることが欠かせません。
工夫を凝らす 時に失敗する 指導を受ける 悔しさや喜びを繰り返す
こうした経験を通して、心と技術は一体化し、やがて自然にその人の言葉や態度に表れるようになっていきます。それが「マスターセラピスト」と呼ばれる姿に近づく道なのではないでしょうか。
成長を分ける「工夫」
経験の量は環境によって大きく左右されます。しかし、その経験を「学び」に変えるために不可欠なのが「工夫」です。
工夫とは、単に臨床技術の工夫だけではありません。自分の成長のために意識的に取り組む「決め事」を持つことです。
事例検討会では必ずコメントする 毎年テーマを設定して取り組む 自主勉強会を開く 学会発表を続ける ドロップしたケースから必ず教訓を抽出する
こうした小さな工夫の積み重ねが、経験を効率よく「質の高い成長」に変えていきます。
自己覚知と心理的柔軟性
努力しているのに結果が出ず、自信をなくす時期は誰にでもあります。そんなとき、今までの方法にしがみつくことがかえって状況を悪化させることがあります。
臨床家として大切なのは「自己覚知」を繰り返すことです。臨床の中で、生活の中で、自分のあり方に気づき直すこと。そのプロセスこそが成長の原動力です。
また、心理学の知識を増やすことは重要ですが、それを臨床に活かすためには「心理的柔軟性」が欠かせません。柔軟性を育てるためには、日常の体験や価値観を揺さぶる経験が必要です。
普段なら聞き流してしまう相手の話を丁寧に聴いてみる 異なる文化や価値観に触れるために旅をする 言葉の前提を意識する
こうした工夫は、単なる技術を超えて臨床家としての厚みを育ててくれます。
成長の連鎖の中で
私たちは日々、クライエントがこだわりを手放し、柔軟性を獲得していく姿を目にします。同じように、私たち自身も自分と向き合い、新しい選択をしていく必要があります。
そしてやがては、仲間や後輩が自分と向き合う姿を支える「器」となることも求められます。不完全なまま支え合う、その連鎖の中でこそ臨床家としての成長は続いていきます。
おわりに
心理士としての歩みは、決して一直線ではありません。つまずき、考え方を変え、時に遠回りしながら成長していくものです。
「学ぶこと」「工夫すること」「教えること」を循環させ、自己覚知と柔軟性を育み続ける。その歩みこそが、心理士のキャリアを豊かにし、クライエントの人生を支える力となるのだと思います。
臨床心理学超基礎講座 1DAY集中ワークショップのご案内

さらなる学びを希望される方へ
臨床心理学超基礎講座で扱ってきたテーマを、1日で体系的に学び直すワークショップを開催します。
基礎を点ではなく“流れ”としてつなげ、臨床の地図を体感的に描ける機会です。
目次
Toggle開催概要
- 日時:2025年10月5日(日)10:00〜16:00
- 形式:オンライン(Zoom開催)
- 対象:臨床心理士、公認心理師、スクールカウンセラー、教育・医療・福祉領域の専門家
プログラム内容
- 傾聴
- 見立て
- 治療構造
- 共感
- 助言・理解の伝え方
各テーマをつなぎ合わせることで、臨床に必要な“基礎の地図”を描けるようになります。
ワークショップのメリット
- 1日で基礎を体系的に整理できる
- 録画視聴で何度でも学び直せる
- 実際の参加者からは「自分のやり方が整理できた」「面接が安定しそう」といった声が届いています
学びの継続が実践を広げる
臨床の学びは、続けるほど深まり、深めるほど実践の幅が広がります。
録画で内容を丁寧に振り返るのも、ワークショップで体系的に再構成するのも、どちらも有効です。
あなたの臨床理解と実践がさらに豊かになることを願っています。
お申し込み
解決志向・超基礎講座のご案内

はじめに
「問題をどう分析するか」ではなく、
「どうすれば解決に近づけるか」に焦点を当てる。
そんな 解決志向ブリーフセラピー の考え方を、学校現場や臨床の実践に活かすための基礎講座を開講します。
講座の目的
- 問題の原因探しにとらわれず、解決像を描く方法を学ぶ
- 子ども・保護者・教職員と協働しやすい支援の組み立て方を知る
- 現実的かつ共有しやすい視点で、日常の実践に生かす
プログラム内容(全6回)
- 解決志向の基本理念
問題志向との違いを理解する - 解決像を描く
「どうなったらよいか」を丁寧に聴く - リソースに注目する
すでにある力や例外的な成功体験を見つける - 小さなステップをつくる
“スーパースモールステップ”で実行可能な課題を設定 - フィードバックと振り返り
介入の効果を見極め、柔軟に修正する - 学校現場・日常臨床での応用
コンサルテーションやケース会議で活かす方法
この講座で得られること
- 現場で実際に使える言葉が増える
- 支援の方向性が整理され、迷いが減る
- 「子どもや先生と一緒にやっていけそう」という実感が持てる
実際に受講された方からは、
「現場で使える言い回しがすぐに見つかった」
「面接やコンサルが安定しそう」
といった声が多く届いています。
対象
- スクールカウンセラー、公認心理師、臨床心理士
- 教育・福祉・医療領域で対人支援に関わる方
- 「解決志向に興味はあるけれど、基礎から学びたい」という方
開催形式
- Zoomによるオンライン講座
- 講義+ディスカッション
- 録画視聴あり(復習・繰り返し学習が可能)
お申込み・詳細
まとめ
解決志向は、「現実的で共有しやすく、すぐに使える」 という点で、学校現場や日常臨床にぴったりのアプローチです。
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