かけい臨床心理相談室

主訴とニーズは別物かもね!若島孔文先生登場

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主訴とニーズは違う?

カウンセリングでは主訴というものを大事にします。

主訴というのは、主なる訴え、つまりその人が一番困っていること、相談したい内容のことです。

例えば不登校で相談に来られた方が、「学校に行けないこと」を相談したとします。

ついつい「では、学校に行けるようになんとかしましょう」というような請け負い方をしてしまうことがあるかもしれません。

この入り方はちょっと難しいかと思います。

「不登校で相談に来ているんだから、学校に行けるようにするのはそのことに合った対応でしょ!」

と思う方もいらっしゃるでしょうが、これは相談を受けた人間が「不登校の解決は再登校」と思っているだけで、相談をしてきた方のニーズと合致しているとは限りません。

上面のコミュニケーション

例えばスクールカウンセラーをしていて、保護者とともに来談した子供が、「学校に行きたい」と言ったからといって、本当に今心からそれを望んでいるかというと、ちょっと違うこともあるんじゃないでしょうか。

例えば、学校に行くのを期待している親が横にいて、自分自身も学校に行っていないことで迷惑をかけていると感じていて、今学校の相談室でスクールカウンセラーに「何で困っているの?」「どうなったらいいと思うの」と、この状況では子供にとって「学校に行きたい」以外のことって言えなくないですかね?

つまり、この状況が子供の言葉の選択肢を減らしている、コントロールしているということです。

「自分の心のうちを自由に語る」なんてことはできっこないのです。

本当の子供の気持ちは「とにかく一刻も早くここから逃げ出したい!」かもしれません。

いくら解決志向でソリューショントークをしようとしても、子供の心はガチガチのダブルバインドにかけられていて「うーん」とか「はい」とかしか言えなくなっていたりするわけです。

表面上はうまいこと初回が終わったと思っていても、何故か次回からは子供が来たがらない、なんてときは、こういった上面の主訴を大事にしようとした滑ったコミュニケーションで初回が終わってしまったことが原因なのではないかと思います。

上面で終わらないために

なので上面で終わらないように、①状況の設定の仕方を変えるか、②コミュニケーションの中で前提をひっくり返す、ということがまずはじめにやるべきことかと思います。

①状況の設定の仕方を変えるのならば、保護者と同席で話を聞かないとか、後で子供の話を個別に聞く時間を設定することを約束する、ということもありかもしれません。

知っている先生のやっているカウンセリングルームでは「不登校対応については再登校を目指す」ときっちりと掲げているという話を聞きました。

これも、来室する前に、相談に来る方が選べるわけですから良い設定の仕方かと思います。

②コミュニケーションの中で前提をひっくり返す、について、例えば東北大学の若島先生は「学校なんて燃えちまえ、って思ってるんじゃないの?」と子供に語りかけたという話をしていました。

まさに「学校に行っていないのが問題」っていうみんなが縛られていた前提をひっくり返す一言かと思います。

この一言で、上面のコミュニケーションの底が抜けて、「行かなきゃとは思っているけど、本当は相当きつい」「ここに来るのも相当しんどかった」という本音に近いことを子供が語れる可能性のある空間というか関係性に変化したのではないかと思います。

「本当は学校に行くのがしんどい」ってことが語れる関係性、前提があって、初めて上面の主訴とは違った具体的ニーズについて語れることができるという話でした。

若島先生が、ちょうどそこのところについて語っている動画です。

この場の状況の前提を見る、整理する。

主訴の裏側にある個別のニーズを発掘するのは、それからです。

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