カウンセリングが楽になる「傾聴の土台」|臨床心理学超基礎講座 #1
この記事は、昨年開催した
「臨床心理学超基礎講座 #1 傾聴」の内容をもとにまとめたものです。
カウンセリングの基本として語られる「傾聴」ですが、実際の臨床では「ただ聴く」だけではまったく足りない、という感覚を持っている方も多いのではないでしょうか。
うなずくことでも、優しくすることでもなく、“関係が動き出す聴き方” とは何か。
講座でお話しした内容の一部を、あらためて言葉にして整理しました。
─ カウンセリングを難しくしすぎないために
「カウンセリングって、なんだか難しそう」
「専門用語を使いこなせないと、プロとは言えないんじゃないか」
そんなふうに感じたことはありませんか。
心理職の世界には、なぜかやたらと難しい言葉があふれています。でも、難しい理論を語れることと、目の前のクライアントを臨床的に支えられることは、まったく別の話です。
僕自身は、カウンセリングはできるだけシンプルでいいと思っています。むしろ、シンプルであるほど強い。
今日は、僕がずっと大事にしている「傾聴」の本質について、あらためて整理してみようと思います。
傾聴は、たった3つでできている
僕の中で、傾聴はとても単純です。
心は「肯定的なまなざしを持つこと」。
技は「話をひとまとまりで聞くこと」。
体は「自分自身がリラックスしていること」。
これだけです。
特別なテクニックはほとんど要りません。
プロと素人の決定的な差は、実は技術の多さではなく、「どういう姿勢で聞いているか」にあります。
素人は途中で遮ったり、無意識に評価したり、「それは違う」と修正しようとします。
一方でプロは、「面白いな」「なぜだろう」「どんな文脈があるんだろう」と、ただ好奇心を持って相手の世界に浸ろうとします。
この「心」が整うと、相槌や頷きといった行為は、自然と後からついてきます。
順番はいつも、心が先、技は後です。
傾聴とは「薪をくべる」作業
臨床家の仕事は、クライアントの中にある言葉にならないモヤモヤを、そのまま受け取ることです。
ごちゃごちゃした思考や感情を、少しずつ外に出していく。その過程で、頭の中にスペースが生まれる。人が変化するのは、だいたいこの「隙間」ができたときです。
だから僕らがやることは、とても地味です。
相手の語りが続く方向に、ちょんちょんと薪をくべるように相槌を打つ。それだけ。
「なるほど」は強すぎることがある。
「わかったつもり」の色がつくから、使いすぎない。
頷きは相手のペースに合わせる。速い人には軽く、深い人にはゆっくり。
相手がふっと力を抜いて、「あ、この人わかってくれてるな」と感じる瞬間まで、ひとまとまりを聞き切る。ここが、実は一番の腕の見せ所です。
プロの立ち位置は「Not Knowing」
面接の中で、「でも」「いや」といった逆説が出てきたら、それは大事なサインです。
あなたの理解が、少しズレているという合図。
そんなときに説明したり説得したりするのは、たいてい逆効果です。
そこで立ち戻りたいのが、ナラティヴの世界で言われる マイケル・ホワイト たちが大切にしてきた「Not Knowing(無知の姿勢)」という立ち位置です。
「今の理解、少し違いましたね。もう少し教えてもらってもいいですか?」
そうやって、わかっていることと、まだわかっていないことを丁寧に分けていく。この小さな合意の積み重ねが、クライアントの「整理された感覚」につながっていきます。
分かったふりをしない。
知らないことを、ちゃんと知らないと言う。
実はこれが、いちばん専門的な態度なのかもしれません。
いつも一番重要なのは「信頼」
最後に、僕がいちばん大事にしていることがあります。
それは、目の前の人には「必ず自分を助けていく力がある」と、100%確信して聞くことです。
無限のリソースがある、と本気で思って耳を傾ける。
「この人も、良かれと思ってここまで生きてきたんだ」
「誰も悪くない。ただボタンを掛け違えただけなんだ」
そう腹の底から思えていると、不思議なくらい、相手の語りは変わっていきます。半年、1年と時間をかけて、言葉そのものがやわらいでいくことも珍しくありません。
傾聴は技法というより、ほとんど「信頼の姿勢」なんだと思います。
もしそれが難しいときは、自分の中に「この人なら信頼できる」という存在を思い浮かべてみてください。師匠でも、先輩でも、友人でもいい。その人の前にいるときの自分の感覚を、そのままクライアントに向けてみる。
それだけで、聞き方は驚くほど変わります。
傾聴を、もう一度土台から学び直したい方へ
なお、この講座シリーズは
昨年4月〜10月にかけて全6回+1Dayワークショップとして開催し、
現在は全編アーカイブ視聴が可能になっています。
「基礎を一度ちゃんと学び直したい」
「現場での手応えをもう一段深めたい」
そんな方は、いつでもご自身のペースでご覧いただけます。
傾聴は決して派手な技法ではありません。
でも、ここが整うと、面接の景色が本当に変わります。
遠回りのようで、いちばん確実な土台づくり。
臨床の「足場」を一緒に作りたい方は、ぜひご参加ください。
ちなみに現在は、続編として
「解決志向超基礎講座」も開催しています。
傾聴で土台を整え、そこから「どう変化を生み出していくか」を扱う実践編です。
基礎 → 応用へと段階的に学びたい方は、こちらもぜひしてみてください。
▶ 解決志向超基礎講座のご案内
臨床実践ラボのご紹介
継続的に学びたい方向けに、
月額制の実践コミュニティ「臨床実践ラボ」も運営しています。
スーパービジョンや事例検討を通して、日々の臨床を一緒に振り返る場です。
ご興味のある方は、こちらもどうぞ。
オンラインスーパービジョン無料体験
カウンセリングが上手くなりたい!
ケースの見通しをちゃんと立てたい!
手詰まりを感じている!
まだまだ上達していきたいカウンセラーの皆さんに、オンラインスーパービジョン無料体験のお知らせです。
毎月3名限定でオンラインスーパービジョンの無料体験をZoomにて行っております。
気になる方は下記のスイッチをクリック!




