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常勤のスクールカウンセラーをしてると、非常勤と違う葛藤があるよ

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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常勤のスクールカウンセラーの仕事とは

常勤のスクールカウンセラーでは介入の規模が学校という組織規模になっています。

そのため、やりとりや情緒的なところ、情報処理は個々に向けて多人数にやりつつ、計画立案については、個人だけでなく、組織に対して介入方法を考えてやってく。

個人への介入も、対組織の一部、その逆もまたそうである、という意識でやらざるをえません。

 

学校臨床は基本的には組織臨床

スクールカウンセラーの仕事は、基本的には個人臨床よりも組織臨床として考えるべきだと思います。

ですが、臨床家はもともと(この仕事選ぶ時点で)個人主義的なとこがある人が多く、集団の中で不当に弾圧されたり、力を失っている個の部分をエンパワメントしたり、表現を助けていくというような意識があると思います。

 

非常勤のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは、外部の専門家として扱われるので、学校組織としての考えと違うことをしていても、外部の人だからしょうがないと流してくれる場合もあるかと思います。

しかし常勤のスクールカウンセラーの場合、学校組織の流れと異なることをやってしまった場合は、教職員集団の中から浮いてしまいますし、そうすると組織の中でうまくスクールカウンセラーとして機能できなくなってしまいます。

迎合か?個人臨床か?

こんなときどちらの道をとったらいいのでしょう?

①教職員の流れに迎合する道

②教職員の流れを無視して個人臨床をやっていく道

例えば①を選ぶならば迎合することとなってしまいます。

教職員支援と言いつつ、学校のニーズではなく教職員の今見えているニーズを満たすことで、居場所を確保しようとしてしまっていることがあります。

逆に②では、教職員の持つ大変さや仕組みの縛りをわからずに、「専門的知見」だけを押し付けても、無視され排除され、介入出来なくなってしまうのは明らかです。

そこに気づかずに「だから学校は!」と鼻息を荒げるのも組織臨床としては全く意味がありません。同じことを「だからスクールカウンセラーは!」とか教師に言われていることでしょう。

①でも②でもなく、③協働体制を作り、学校のまだ見えていないニーズを探していく道を選ぶことは出来るでしょうか。

学校組織にジョイニング

そのためにはどうするのか?一つは学校組織の考え方、文化、ルールを理解して、そこに合わせていくことです。

これは家族療法でいうジョイニングといわれている技法(哲学?)です。

ルールや信条にまずは合わせた上で、その後、徐々に方向を変えていく、ずらしていくということです。

合わせるのをペーシング、ずらすのをリーディングというのですが個人臨床のみならず、組織の中で柔らかく泳ぎ回るためには素晴らしく実用的な考え方です。

(吉備国際大学の津川秀雄先生に、合気道のメタファーを使って教えていただきました)

 

ニーズを分けて考えてみる

もう一つは、学校のニーズと先生方のニーズと自分のニーズと児童生徒や保護者のニーズを分けて考えてみるということです。(非常勤SCであってもこの意識が明確にあると、有機的に学校や保護者も含めて連動して動くことができます)

もちろん、先生だって児童生徒だって一人一人の持つニーズは違うのですが、常勤のSCの場合は、学校全体の心の健康のマネジメントに関わらなければいけないんです。

つまり個人への支援をしていたとしても、それが学校組織としてはどんな意味があるのかとか?誰と誰が関わるのが良いのか、または関わらせないほうがいいのは誰なのかとか、そんなことを誰がどう思っているかとか、ややこしい学校ないの力動を読みながら、その個人の支援による利益が最大化する(そしてかかるコストが減る→限りある資源が活かせる)ように。

例え自分がその直接の支援から外れることがあっても、全体的にプラスなのが見えたらOKみたいな気概が必要なところもあるんです。

そしてもし可能であれば、誰も気づいていない学校の持つ潜在的なニーズを見つけて、そこに徐々に味方を増やしながらアプローチしていくなんてことができたらすごいですよね。

まとめ

今できることと出来ないことを分けて、小さなできることに必死に取り組んで、少しずつ大きくしていくこと。

今できないことが出来るようになるための土壌を耕していくこと。

それは人間関係のこと(ジョイニング)かもしれないし、業務のやり方を整理(ニーズの整理)していくことかもしれません。

今後はきっとそういうことができる人が増えていくと思いますし、常勤のスクールカウンセラーが目指すところってそんなところなんじゃないかと思います。

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