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InteractionalMind ⅩⅢ(2020)「武術から心理療法を考える」

 

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この記事を書いている人 - WRITER -
臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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2019年に東北大学で行われた、日本ブリーフセラピー協会第11回学術会議にて行われたワークショップ「武術から心理療法を考える」の内容が、日本ブリーフセラピー協会の学会誌であるInteractionalMind ⅩⅢ(2020)に掲載されました。

武術と心理療法の関係

武術と心理療法の関係を考えるということは、臨床の世界に入ったときから、いや大学で臨床心理学を学んでいた時から継続して自分の中で考え続けていたことでした。
そして、自分一人で考えているつもりが、実はその考え方には沢山の先達がいらっしゃいまして、今回はその中でもトップレベルの(心理療法、武術双方の)実践家である、若島孔文先生と、なかおよしき先生に、ワークショップから論文までご一緒させていただくことが出来たのは、本当に得難い体験でした。

僕自身は、合気道という武術から「自然体」「勝機」「先を取る」からの「協働」というテーマで書かせていただきました。

「自然体」

ここでの自然体というのは、面接を「立ち合い」に見立てて、つまり日常ではない、ある意味生き死にがかかっているかもしれない非常時に、いかに柔らかく脱力し、呼吸を整えるかということです。
そして、相手との間合を掴み、身体感覚をモニタリングすることにより、自分も相手も同時に観察する観の目を養うということについて書かれています。

勝機

勝機というのは「何を話すか」よりも実は「いつ話すか」ということの方が重要なことってありますよね。面接の中でここぞというタイミングを外さないで、要所を抑えることが出来るかという話です。
そして自分自身が自然体でいなければ、相手に柔らかく沿いながら勝機を掴むことは実際には難しいのです。

先を取る⇒協働

これは、相手より先に判断して相手より先に行動すること、と言ってもいいかもしれません。
現代の心理臨床では、個別面談だけではなく、協働の体制づくり、というテーマでこの「先を取る」感覚は生きてくるのではないかと思っています。

時間と空間と相互作用のシステム論へ

そして中尾先生は、学校現場の中での視覚、死角といった空間戦略論について書かれています。

こういったテーマについて、若島先生は掛井の身体、動作論が「時間」に関する理論として、中尾先生の空間システム論が「空間」に関する理論として、時間と空間が相互に作用するシステム論として発展するのではないか、というこれ以上にないありがたいまとめ方をしてくださいました。

これを励みに、更に研究を重ねていければと思っております。

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