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【臨床心理学超基礎講座】傾聴について その1 〜目的は話しやすさ〜 

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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傾聴の目的と構造

傾聴というと、「相手の話をじっくり聞くこと」と思われがちですが、実はその目的や構造を丁寧に考えてみると、より深い理解が得られます。まず、傾聴の目的とは何かというと、「相手が話しやすくなること」と言えるでしょう。これが案外、見落とされがちです。

「なんだ、そんなことか」と思われるかもしれませんが、この“話しやすさ”こそが、カウンセリングの質を左右する決定的な要素なのです。どれだけ優れた見立てや介入技術を持っていても、クライアントが安心して話せなければ、その力を発揮する場が生まれません。聞き手の態度や技術ひとつで、クライアントの語りの質が変わり、そこから得られる情報の解像度も変わってくるのです。

傾聴の「攻守交代」のプロセス

傾聴の構造には、「語り手と聞き手の攻守交代」があります。基本的にはクライアントが主導して語る時間が大半であり、セラピストは構造を整えながら、それを受け取る役割を担います。

ただし、語りがひと段落したときには、今度はセラピストが短く問いを立てます。この問いが次の語りを方向づけることになるのです。そしてまたクライアントが語り、セラピストは聴く。この往復運動が丁寧に繰り返されていくことで、やがて語りが構造を持ち始め、理解が深まっていきます。

問いはできるだけ短く、語りを妨げず、むしろ次の語りを生むようなものであることが望ましいです。全体のバランスとしては、クライアントの語りが7〜8割、セラピストの語りが2〜3割程度になると、自然な流れが保てます。

問いの質が表すもの

問いには、その人の“人間としての見識”が現れます。問いが浅ければ、受け手に不信感や違和感を与えます。逆に丁寧で真摯な問いは、クライアントに「理解されている」「考えてもらえている」という感覚を与えることができます。

特に注意したいのが、「相手に気づかせよう」という意図が前面に出すぎる問いです。これは無意識のうちに「あなたのことを私の方がよく分かっている」と言っているようなものです。このような問いは、たとえ意図的でなくても、相手にとっては“誘導”と感じられ、信頼関係を損ねてしまう危険があります。

大切なのは、問いを“仮説”として提示することです。「こういうことなのかもしれませんが、どうでしょう?」と丁寧に聞くことで、語り手に新たな視点を促すことができます。

仮説的な問いを立てるには、まず「クライアントが話したいことってなんだろう?」という姿勢が必要です。主訴が話の入口になることは多いですが、それをそのまま扱うのではなく、語りの中から本当に扱いたいテーマを見極めていく作業が求められます。

たとえば「夜眠れなくて困っている」という訴えがあったとします。もちろんそれ自体が困りごとですが、実際にカウンセリングで扱うべきテーマは、「眠れなさの背後にある不安」や「気持ちの高ぶりを鎮められない日常のパターン」など、より深い層にあることが少なくありません。

そこで私たちは、問いを通じて話を少しずつ分解し、扱いやすいサイズへと整えていきます。その中でクライアントと小さなコンセンサスを積み重ねていくことが、傾聴における問いの本質的な役割と言えるでしょう。

繰り返されることで積み上げられていく「語り」と「理解」

傾聴のやり取りの中で、語りはまるでピラミッドのように構造をもって積み上がっていきます。その底面を支えるのが、小さなエピソードごとのやり取りです。聞く—仮説をもとに問いを立てる—新たな理解についてコンセンサスを取る—新しい語り(「そういえば……」)が生まれる。この一連の流れが繰り返されることで、自然と語りの厚みが増していきます。

この繰り返しがうまく機能すると、クライアント自身が語る中で理解が深まり、語りが立体的になっていきます。そして、聞き手もまたその語りを通じて、理解を少しずつ積み重ねていくことができます。

ポイントは、仮説的な問いが「語りのひとまとまり」の切れ目で、自然に差し出されること。たとえば、「この話の中で、こういうところが何度も出てきますね」「この方との関係が気になりますが、何か思い当たることはありますか?」といった問いは、流れを止めることなく、新しい語りを引き出す助けになります。

こうしてエピソードが連なっていくと、複数のまとまりの中から一段抽象度の高い“理解”が生まれてきます。「この方との関係が中心なのではないか」「自分の役割の感覚が影響しているのでは」といったテーマです。これらの抽象的な理解が得られると、またその理解をもとに新しい話題へと進んでいくわけです。

このようにして、傾聴によって生まれる問いと語りのループを回し続けていると、不思議なことに、欲しかった情報が自然と集まってくるのです。生活歴、家族歴、現病歴、社会的関係……。わざわざインタビューしなくても、クライアントの語りの中に、それらの情報が内包されてくるようになる。

そのとき大事なのは、構造的に語りが編まれていくことを信じること。そして、理解があるから問いが生まれるという順序を崩さないことです。

問いは方向をつくりますが、理解がずれていれば、問いもまた的を外してしまいます。聞き手の理論や仮説に無理やり引き寄せるのではなく、「クライアントが話したいこと」に、もう一度立ち戻る。そこを起点に語りを編み直していく。この姿勢が、傾聴における問いの実践には欠かせません。

まとめ

このように、傾聴というのは「聞く」行為のようでいて、実は「関係を編んでいく」プロセスです。その中心には、クライアントが「話しやすい」と感じられる環境をつくることがあります。

傾聴は、確かに心理的支援において基本中の基本、これができなければ何も始まらないくらい重要なスキルです。でも、傾聴一本やりでは多様な状況には対応しきれません。支援のプロセスを前に進めていくには、見立てや構造、関係性の維持といった他の力も必要になります。

最終的に、傾聴とは「相談に行きたい」「この人には話しやすいなあ」と感じてもらえるような、心地よく、安心できる時間を提供することです。相手にとって自然に話ができる、けれど失礼ではないという、絶妙なバランスをどうつくるか。その工夫と実践こそが、傾聴という営みの核心なのかもしれません。

次回は、「傾聴」を行為としての側面と、心の内側の働きとしての側面とに分けて、もう少し細かくお話ししてみたいと思います。

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