かけい臨床心理相談室

【公認心理師資格試験対策講座】④心理に関する支援を要する者等の安全の確保その1 「注意の標準」について理解しましょう!

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Ⅰ|自分自身の専門能力の範囲内において援助を行うこと

公認心理師は自分自身が訓練された専門性の能力の範囲内での援助を行うことを求められており、その専門性や能力の範囲外の事柄については、そこに適切に対応できる専門家に依頼せねばならない。

これは自分に十分な技能や専門性がないことが原因で、なかなか良くならなかったり悪化していても、自分で抱え込んでしまうのは間違いであり、目の前の人の訴えや症状について、自分が対応できる事柄なのかを適切にアセスメントして判断せねばならないということです。

(自分が対応できるのか対応できないのかの判断を出来る能力がないからこそ、抱え込みをしてしまうのだろうけど)

なんでこういうことが明記されるかというと、もちろん国民のこころの健康の増進のため、公認心理師が要心理支援者を傷つけないため、連携していくためなんですが。

例えばカウンセリングの専門技能を持たない人が「私は公認心理師だから」といってカウンセリングが出来るふりをしてカウンセリングを行おうとする、ということが起こってくると思うんです。

相談に来た人にとっては、相手がどんな専門性持っていてどんな専門性を持っていないのかってのは全然わからないことだから、公認心理師という看板を使って出来ないことをしようとする人がいるかもしれない。「公認心理師の資格持っていたって専門技能がないことをやったらイカンよ」「そういうことをするのはすでに公認心理師ではないよ」という話かと思います。

 

そういった専門能力に関する判断としては「注意の標準」という法的なものと、・教育、訓練、経験に基づく専門的能力という考え方があります。

・注意の標準

特定の状況での過失の有無を判断するためのもので、過失について「普通こんくらいのことは気づくよね」という基準なのですが、専門家の場合は「専門家としてはここはこの程度のことは分かっているのが普通だよね」という職業に従事するものとしての標準的な基準ということになります。

例えば、不登校についての相談に保護者が来たとして「あなたの育て方が悪かったんですよ」と説教を垂れて、相談に来た人が傷ついて帰ったとしたら、これは普通の人の基準としてはよくあるレベルかもしれませんが、心の支援の専門家としては標準的な基準を満たしていないですよね。

*(以下毒のある私見です)流石に専門家でこういう言い方をする人は減ってきているとは思います(思いたいです)が、じゃあ今度はそういった不登校の相談について「それは辛いですね、お母さん苦しいですね、うんうん」と毎週受容と共感を繰り返すだけで不登校については具体的な介入プランを出さない。学校職員には「先生方はいつも大変ですね、あの子はとっても傷ついているので難しいです、見守るしか無いですね」「愛着障害ですからお母さんがまずは変わらないと」と不登校がまるで母親と子どもの責任であるかのように説明して、自分がなにもしないこと、学校がなにもしないでいることの言い訳を作り、自分のポジションを維持しようとする。

これは10年前までは現場では成り立ってしまっているかもしれないし、一般の人がこう言うのは分かりますが、専門家としてはもうとっくの前にNGになっているなのではないでしょうか。

公認心理師法第2条には公認心理師の行うべき業務について、要心理支援者を観察分析して、その心理に関する相談だけでなく、要心理支援者とその関係者への「助言」「指導」「その他の支援」をすること、と明記してあります。

10年前、20年前はまだ学校現場でも「助言してはいけない」「相手の成長を信頼する」「見守る」で済んだのかもしれませんが、スクールカウンセラーへの認知が高まり、今までは相談に来なかった幅広いケースに対応しなければならなくなった現代では、伝統的な個人臨床での枠組みは合わなくなってきていると思われます。

専門家の負うべき注意の標準は、いつまでも同じではなく、その時代や専門家集団の技量の変化によって日々変わっていっているので、日々自分の技能に疑いを持ち研鑽を怠るべからずということでしょう。

 

・教育、訓練、経験に基づく専門的能力

これは認知行動療法で言えば、今はこの段階、社会的な支援で行ったら今はこの段階、という専門技能ごとのその人が持つレベルに応じた責任性ということかなと読み取っていますが違うのかもしれません。

例えば今大学院生で、実習や演習としてカウンセリングを行っている人が、専門家としての注意の標準を満たすことは難しいですよね。

病院での精神分析をずーっとやってきて、相当な経験と能力があるけど、学校でのグループワークやコンサルテーションは初めて、なんてこともありますよね。

なのでその人の専門技能の習得の過程にある場合は、注意の標準を満たしていなくてもしょうがない、ということなのかもしれませんが、その場合は「今私はこういう状態の経験レベルなんですよ」という「言い訳」にならないような「インフォームドコンセント」が必要となりますし、法第43条には資質向上の責務について、法的義務と倫理に明記されているように資質向上を怠った場合には公認心理師資格の取り消しという罰則もあります。

そもそも抱え込みでなく多職種との連携が求められているのが公認心理師なので、やはり一番大切なのは自分の能力に対するアセスメントと、最低でも適切に連携出来るだけの知識と専門性を得ることなのでしょうね。

 

④心理に関する支援を要する者等の安全の確保その2 「警告義務」について理解しましょう!に続く・・・

*この記事は主に「公認心理師現任者講習テキスト」の内容をまとめて書かれています。

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