【カウンセリング】依存って本当に悪いことなのかな?
依存が悪くて自立が良いって本当??
依存と自立は対として扱われることが多いけど、自立の反対として依存が悪いことと同じように扱われている事が多いですよね。
誰かが、その人の親や親しい人、あるいは医療機関や地方自治体やNPOなんかの世話になったり助けてもらっているのを見ると「とりあえず自立しなきゃいけないんじゃないの?」みたいなことをポンと言う人って割と多くいるし、そりゃ自立できることは大事なことだと思うけど。
そういう人にとって「自立」とは「誰にも依存せずに一人で生きること」「依存をしないことで初めて自立できる」みたいに思ってるんじゃないのかな?と感じます。
今回はそんな自立と依存の話。
目次
Toggle相互了解のない一方的な依存→ハラスメント
自立とは、依存の反対にあるのではなくて、自分が多くの人や存在に少しずつ知らぬ間に依存したり世話になっている事に気づいた上で、そこに感謝しつつ、自分の力や心遣いで還元していくことが出来ることだと思っています。
「私は自立しているから誰にも迷惑をかけたことがない」と言って自由気ままにふるまっている人が本当にいるかどうかわからないですが、そう言っている人がいるとするならば。
その人の自立は「金銭」や「労働」あるいは「人間関係」などのある狭い範囲に限定して人の世話になっていないわけであって。
実際にはその人が見えていない、ありとあらゆるところで他人に気を遣わせ、金銭や労働を負担させ、それに気づくことが出来ていないということだと思います。
そして多かれ少なかれ、親しい人間や距離の近い関係の人に対して、人はそのようにふるまってしまっており、それこそ本当の意味での「依存」なのではないかと思います。
そして、このような一方的な了解のない依存がこそがハラスメントなのかもしれません。
自分の思いを無理に通そうとする人こそ実は依存的な人
自分自身もそうしてしまっているなと思うのですが、家族や恋人、ごく親しい仲間などは、こういった「依存」が互いに許せる関係だからこそ、その中で喧嘩が出来たり、ブツブツ言いながらも付き合いが続けられるのかもしれません。
しかし、こういうことが相互了解的でなく、一方的に起こってしまうと、パワハラやセクハラ、アカハラといったハラスメントということになってしまうのではないでしょうか。
例えばこんな人はいませんか?会議で自分の意見が通らなかったり反対されたときに、猛烈に不機嫌になって、自分のイライラを誰かにぶつけたり、意見が通るまでごり押しをしようとする人。
そういう人って「自分の意見がちゃんとある人」ではなく「周囲が自分の意見や感情を何も言わずに受け入れてくれることを期待している人」なのではないでしょうかしょうか。
つまり自分の感情やわがままを「何も言わずに母親に認めてほしい」という幼児の持つ母親への依存や万能感とも似ているかもしれません。
こういう人は経済的にも「自立」して「立場」も「権力」も「責任」も持っているかもしれませんが、それってつまり「万能感」が高まってしまう、「なんでも思い通りになる」と勘違いしてしまう可能性も高まりますし、その「依存」が周りに与える影響も大きくなってしまいます。
自立とは健康的な依存状態
自立ってのは「健康な依存状態」といっていいかと思います。
人は生まれた時は、自分の家族、その多くの場合は母親との間でみっちりと依存関係を築き上げ、そこから自分で世界を探索することで、様々な立場の人と出会い、新しい関係性を作っていくことで社会のなかに自分の「居場所」つまり「支え合える関係性」つまり「ちょっとずついろんな人に世話になりながら自分も誰かの世話をして、互いに感謝し合える関係性」を持てることだと思うんです。
「健康な依存状態」というのは、「多くの人に少しずつ依存し合えて生きていける状態」と言い換えてもいいかもしれません。
つまり「相互的な依存関係」があちこちの方向に伸びていて、そういったネットワークの上で個々が自由に感情や考え、個性を表現し、受け止め合える環境で生きる、ということなのかもしれないなと思います。
不健康な依存関係とは?
逆に「一方的」もしくは「限られた関係性」の中で起こっている依存関係は「不健康な依存関係」なのではないでしょうか。
なぜなら依存関係は関係している相手の数が少ないほど、その依存関係に乗る感情の力は強くなり、環境が閉じられていれば閉じられているほど、その関係性は強固なものになっていきます。
狭い、限られた関係性の中で出来てしまった依存関係の悪循環から抜け出すために大事なのは、「自立」を促すことではなく、依存できる他者が生活の中にそっと入り込むことなのかもしれません。
「自立支援」てのもありますが、実際は「自立」を促すことよりも、信頼できる他者がその場にいること、その存在自体が、不健康な依存関係から、健康な依存関係へ変化していく重要なきっかけになっていると考えることもできるかと思います。
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