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【なんスク】【不登校】別室登校でのスクールカウンセラーの対応について

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臨床心理士  カウンセラーっぽくないカウンセラーと言われることが多い チェブラーシカに似ていると言われることがある 似ていないと言われることもある 時間空間的なおっちょこちょいである
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スクールカウンセラーをやっていると、別室登校での対応を任されることがよくありました。

 

学校が別室登校をSCに任せ過ぎることについては、本当はいろいろ良くないこともあると思っているのですが、任されたのならば、その時間が児童生徒にとって価値のある時間になるように対応する必要があります。

別室登校の目的

別室登校の目的はいろいろとあるとは思いますが、誰が主語になるかによってずいぶんと差があります。

担任にとっての別室登校の目的は、少しでも学校とつながっていてほしいから、保護者にとっては一日でも出席日数を増やしたい、勉強所時間を確保させたい、とか。

でも本人にとってはただ単に「行かないと親がうるさいから」だったりすることもあります。

ここがバラバラのままでもいいのですが、そこに関わるSCは、それぞれの思惑というか、関わる人々が別々の想いをもって別室登校を取り巻いている、と考えたほうがいいかもしれません。

なんとなく別室登校の児童生徒と会ってしまうこともあるかもしれませんが、できれば、その一番の当事者たる目の前の子どもの思惑をくみ取ったうえで関りを持つことが大事かと思います。

別室登校をする多くの子どもが、不安や緊張感、面倒くささを持ちながら学校へたどり着き、その中でもできるだけ失敗をしたり弱みを見せないように、あるいはささやかな自分なりの楽しみを見つけようとしたり、とにかく人と顔を合わせないように忍者のように行動したり、とそれぞれがそれぞれのテーマや思惑をもってその時間を過ごします。

ねぎらい

だからまずは「ねぎらい」の要素を含んだ言葉で話を始めるのがいいかと思います。

「よー来たじゃん」「今日はいい天気だけど暑くなかった?」

なんて大げさではない言葉で十分だと思います。

そして「選択と挑戦の承認」を含んだ言葉もあってもいいかと思います。

「学校に近づくとドキドキしたりするよね~、それでもよく頑張って来たね」

「てっ!三週連続で来てるじゃん!たまるかたまるか」

何を言っているのか分かりませんね。

「本当は避けたいところに、不利な状況があるのに、不安をぐっと飲みこんでここにやって来ていることを私は知っているよ」ということが小さく伝わる言葉があるといいですね。

 

で、せっかく来たのですから「少し楽しい」「来てよかった」と思える体験をして帰ってもらえたらいいですよね。

出来るだけ長くいることが素晴らしいとして、長くいさせようとする方も多いですが、最初は「学校に来て嫌な体験をせずに帰る」ことを第一に、来れたことを十分ねぎらって帰ってもらうくらいで大丈夫。

長くいると学校側の対応の方にぼろが出ます。

別室登校で何をするのか

別室登校で何をやるかですが「今日は何したい?」でもいいですし、「今日のこの時間はどんな時間にしたい?」と尋ねてみるのもいいかもしれません。

出来れば、別室登校が始まる前に、担任や保護者、当然本人も含めて、どんな目的でどんな意味を持って別室登校を行うのか決めておけたらいいと思います。

別室登校の目的がはっきりしないままでスタートをすると、いきなり感じをやらされたりテスト問題をやらされたりなんてことが普通に起こることもあります。

そういうことではなく、来て馬鹿話をして大笑いして帰ってもいいし、好きなアイドルの話を語ってもいいし、将棋やジェンガをして帰ってもいいです。

「嫌なはずの場所に行ったのに、なぜだか少し元気になる」「一緒に笑ったり馬鹿な話に付き合える大人がいる」「自分の関心のあることに関心を寄せてくれる人がいる」

といったことの積み重ねが最初は大事なんです。

別室登校で勉強をやることの是非

学校の先生や保護者からの「せっかく来たんだから漢字のプリントでも」みたいなのは、やらざるを得ないときもありますし、やるならば楽しくやれるように工夫するべきだと思いますが、本来は「せっかく来たのに漢字のプリントなんかしちゃって勿体ない」です。

でもなぜこういうことが起こるかといえば、事前の別室登校に関する目的や方法を共有できていないからなのです。

 

目的によっては「ただ10分その部屋にいる」ということであっても価値のあることになることがあります。

「黙って好きな本を読む」というのを別々にやるのもいいかもしれません。

大事なのはその時間と場所ですることを「自分で選べること」の積み上げだと思いますし、その選択肢が「何かをする」ことだけでなくてもいいかと思います。

勉強をすることを選ぶことが、本人の意志が反映されたものなのか?それとも学校の考え方なのか?保護者の希望なのか?

もし勉強をするのであるならば、そこに少しでも本人が「来てよかった」と思える体験があってしかるべきだと思います。

回復と活動の広がりの連鎖

そうやって毎回、少し元気になる別室登校が続くと、別室での会話の内容や、活動の内容が少しだけアクティブなものや創造的なものに変化していきます。

インターネットで好きな動物について詳しく調べて壁新聞を作ったり、こっそり裏庭でサッカーをしたり、昼休みに友達と会えるようになったり。

そして学校外での活動も少しずつその幅を広げてくるという事が起こります。

 

そうなってきた時にもう一度、「この時間はどんなことに使えたらいいかな?」と問いかけてみると、答える内容が、少しだけ将来の自分の活動が見据えられた上でのもの、自分自身の糧になる活動に変わってくることがありますし、学校外での活動に備えるためにダラダラする時間になったりもします。

 

そういった「自分で選べる」を尊重するという前提で、学校の先生と関わる時間を少しずつ増やして、子供が「この人は何となく味方かも」と感じれる先生が一人でも二人でもできるように、SCがコーディネート出来るのならば最高です。

不登校を「社会から放り出された体験」にしないように

もちろん学校や保護者は「教室復帰が出来ること」「学習の保障」を目的に別室登校の利用を考えるのが当然のことでしょう。

それはそうだと思いつつも、スクールカウンセラーは心のどこかで、児童生徒が「学校という社会から放り出され駆逐された」という体験をしないように、細かな配慮を積み上げていく必要があるかと思います。

 

大人にとっての社会は実に多様なものですが、小学生や中学生にとっては、「学校は社会そのもの」であるように感じている場合が多く、そこから放り出された体験は、生涯を通じてその後の社会全体に対する態度に大きな影響を与えることになります。

 

自治体によって、そして学校によって、そしてその時に学校にいる教師の顔触れによっても別室登校についての考えは実に様々で、スクールカウンセラーの考えだけで何かが変えられるなんて到底思えないようなこともあります。

別室登校の部屋があまりにも寒すぎたらストーブが入れられないか提案したり、物置のような部屋だったら片づけたり床にじゅうたんを敷いてみたり、ガラッと開けて人が入ってきてもいいようにパーテーションを運び込んだり、もちろん過度に居心地をよくする必要はありませんが、そんなことでもいいんです。

そういうことをすると「学校に来ない生徒を甘やかしてどうする」的なことを言う人はいるのですが、不登校であるという事で本来受けられるはずのサービスが受けられていないわけであって、そういった学校の中での「不利」を抱えている子どもをどう支えられるか、どうやって不登校や別室登校にまつわる発想を、子供の主体性をはぐくむものに変えていけるのか?というのがスクールカウンセラーの大事な役割かと思っています。

寒い道のりをひとりでとぼとぼと学校までやってきて、震えて両手をさすりながら廊下を歩いて、たどり着いた別室がちょっと暖かかった。

自分はむすっとしているのに先生は笑顔で声をかけてくれた。

ちょっと夢みたいな話を大真面目に聞いてくれた。

そんなことの積み重ねが、目に見えないところで大きな一歩に変わると思って、対応できればと思います。

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