アンガーマネジメントと保護者対応:怒りの裏側にある感情に目を向けよう
今日はmaenoshinさんの、中学校でのアンガーマネジメントの授業を見学させてもらって来ました。
http://maenoshinn.com/tyuugakuseianger/
その中で感じたことを少し書いてみたいと思います。
怒りの裏側に潜む感情
怒りは二次感情という言葉があります。
実は私たちの怒りの背後には、寂しさや無力感、疲労や虚しさ、不安や恐れなど、さまざまな感情が潜んでいるんです。
心の中にそういった様々な感情が処理できずに溜まっていくと、最後に溢れ出た時には、怒りの感情になってしまっているので、人は怒りの裏側にある感情のことを、なかなか意識できないものです。
自分が怒っている時「なんでこんなに腹がたつんだろう?」と考えると。
自分が傷ついた悲しさや、思うようにならない不満、本当に上手くいくのか?といった不安が
複合的に積み重なって、それが表出される時に怒りとなって、たまたま最後のひと押しをした相手や、心許した親しく感じている相手、自分自身に向かっていることに気づくことがあります。
いつも振り返れるわけではないけれど。
カウンセリングで怒りと向き合う時
そしてこれはカウンセリングの場面で、話している人が怒っている時、もちろんその人の怒っている気持ちに寄り添いながらも
「この人の怒りの裏には、どんな気持ちが隠れているんだろう?」
と考えるようにしています。
やっぱりそれは「こうであって欲しいことがそうはならなかった悲しみ」であったり、「疲労の積み重ね」であったり、「その疲労に見合った得る物のない無力感」であったり。
そしてそれは、自分自身の怒りを振り返ったの中で見つけたことのあるものに近かったり似ていたり。
表現としては全く違うものに見えても、その裏側にある感情や、こうあらねばみたいなところでは、深く降りていけば降りていくほど「それわかるなぁ」というものになっていくものです。
怒っている保護者の不安な気持ちに目を向ける
例えば、モンスターペアレント(この呼び方もどうかと思うのですが)と学校が感じてしまっている、怒りに満ちた保護者とお会いすることもあるのですが、その怒りの裏側にはいつも
「とても大事にしている子供が危機に瀕しているのに、その子供の近くにいる教師が危機感を持っていないんじゃないか?」
という不安だったり。
「自分の子供だけが不当な扱いを受けているのではないか?それに教師が加担しているのではないのか?」
という疑念だったり。
そういうのって、ちょっとした気持ちのすれ違いや、連絡の行き違い、お互いの立場や気持ちへの想像不足でズレた声かけといった小さな不安や疑念の積み重ねなこともあって。
そういう小さな疑念の前提が、何か子供に関わる大事が起こった瞬間に「やっぱり!」と確たるものに変わってしまうなんてこともあります。
怒っている、というときは同時に「不安がある」ということでもあります。
学校の先生は怒りに対して正論を押し付けて延焼さることがある
学校の先生の職能は正しいことを教えることなので、最初に「いやいや、本当はこうなんですよ」と自分から見た正しさを伝えてしまいたくなってしまうのは仕方がないことなのかもしれません。
でも、子供のことが心配でたまらなくなって、その心配が溢れて怒りモードになっている保護者にとっては「やっぱり学校は敵なんだ!」という確信を抱かせ、怒りの燃料を注ぎ込むことになってしまいます。
やはりここは「事実がなんなのか?」ということと「保護者や子どもの感情への配慮」をちゃんと分けて(スプリッティング)、まずは今の不安な気持ちや、「なんで子どもは悪くないのにこんな状況になってしまっているの!」という
怒りの背後にあるいたたまれない気持ちに焦点を当ててお話を聞く
という態度が、結局は解決に向かう一番の近道だったりします。
ここでいう解決というのは「保護者が怒りを収める」ということではなく
子どもを支える教職員と保護者が「協力関係を取り戻す」
ことなのではないでしょうか?
そのためには何が必要なのか?
鍵は具体性と成長です。
怒りを持った保護者対応の実際
こういった時に学校がまず一番最初にやることは、学校側から見た事実や正しい情報を伝えることではなくて、不安で心配な思いをさせてしまったこと、子どもの抱えている辛さを思いやった一言だと思うんです。
例えば、話を聞いて最初に一言「◯◯さんには心配な思いをさせて申し訳ありませんでした。ずっと不安な思いをされていたんですよね・・・」とお伝えした後で。
[su_box title=”怒りを持っている保護者への対応の手順” box_color=”#de7a8c”]①今現在分かっている情報を伝える②学校がすでに対処していることを伝える(言い訳にならないように)
③学校が持っている今後の見通しと、行う予定となっている対処を具体的に伝える
④本人の今現在の気持ちや考えを尋ねる
⑤保護者の持っている解決像(こうなってほしいというイメージ)について尋ねる
⑥子どもにこのように成長して欲しいというイメージを互いに確認し、共有できる合意点を探す
⑦保護者と学校の成長促進的かつ協働的な対応案を考える[/su_box]
失敗するときは最初に②をやってしまっていたり、気持ちの寄り添いを忘れて、こうするのが当然、という態度でただ情報を保護者に伝えてしまう時だと思います。
最初の一言で保護者の気持ちが少しホッとしたり、学校のやろうとしている対処が具体的だと感じたり、学校の態度に(組織でなく)子どもを守ろうとする真剣さが感じられたりした時、初めてポジティブで子どもの成長に向かう合意点が得られ、保護者との協働的な動きがスタートするかと思います。
保護者ももちろん、協働の仲間です。
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