【論文読んでみよ】学校臨床における「相談構造」試論 ―「治療構造」との比較検討ー を読む(その3)
本永拓郎先生の 学校臨床における「相談構造」試論 ―「治療構造」との比較検討ー
その2の続きです。
学校でのスクールカウンセリングのように、日常性や協同性を孕んでいる相談構造は、学校のニーズや考え方、家庭のニーズや考え方に絶えず影響を受け、お互い変化しあいながら存在しているところに特徴があると言えます。
しかし、学校や家庭からの要望などにさらされているうちに、相談構造自体が揺らいでしまうこともあるかと思います。
しかし、専門性がゆれることに耐えきれないあまり、学校での相談において治療的かかわりを重視し、狭い意味での治療構造を強調しスチル立場に陥りやすいので注意が必要である。
この論文では
と書かれていますが、この揺らぎ自体をどのように利用していけばいいのでしょうか。
この論文では、
と書かれていますし、別の所ではインフォームドコンセプト、つまり目的設定と同意を丁寧に取るその過程において、本人の自己効力性がエンパワーメントするとも書かれています。
つまりこれは、相談者の意志を尊重しつつ、やっていることの透明性を確保していくという事かと思います。
オープンにするのはプライバシーや個人情報ではなく、相談者と相談を受けるカウンセラーが、何を目的にどんな方法でアプローチしているのかを、相談者の同意を取りながら、協同的にかかわれる可能性のある教師や保護者に明らかにしていくことです。
何を目的にどんなことに取り組んでいるのか?ということを、相談者が一つ一つ納得しながら進めていくことが出来れば、そこに教師や保護者が何らかの役割をもって、相談者に協同的にかかわることが可能となってくるかと思います。
この論文の中で
と述べられているように、構造間の相互作用の中で相談構造の専門性と協同性を確保していくのは、相談者だけを見るのではなく、その相互作用の揺らぎ全体を俯瞰してリアルタイムでモニターし続けるような、視野の広さと繊細なまなざしが同時に必要になります。
僕も経験したことですが、いくら相談者のためと思って全力を尽くしているつもりでも、その相談構造の周りを見回しながらでなければ、孤立したり、攻撃されたり、構造自体をひっくり返されたりということにもなり得ます。
学校構造や家庭構造といったものとの相互作用の中でゆらぎながら存在しているところに、スクールカウンセリングの難しさと可能性があると、まさにそう感じさせてくれる論文でした。
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