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「リストカットをしてSCに怒られた」という話 リストカットへの対応その1

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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「リストカットをしてSCに怒られた」?

 

twitterで気になるリツイートを見かけたので、ついあれこれリプライをしてしまいました。(良かれと思って書いてクソリプになっていないことを祈ります)

ゴーリー氏が書いています。

せっかく勇気を出して話してくれたのに、説教なんかしたらその相手はすごく傷つくだろう。他者に助けを求めることもできなくなるかもしれない

本当その通りですよね。

SCは相談の結構入口の方にいる人。

ここで傷ついたりガッカリすることで、その人のひょっとしたら生涯にかけての援助希求能力が低下するなんてこともあります。

杉田さんも小田さんも怒っています。

ではSCとしてはリストカットという行為に対してどんな対応をするのが良いのでしょうか?

リストカットへのSCの対応

例えば「なんでそんなことしたの?」とか「他に何か方法はなかったのかな?」とか、普通言いそうな言葉でも、その言葉の前提には「行為への否定」や「選択の否定」「感情の否定」があるわけで、そこを感じ取れる力のある子がSCにそう問いかけられたら「あ、これ(言葉はどうあれ本質的には)怒られたんだな」と気付くみたいなこともありますよね。

「あなたの身体が大切だから!もうそんなことしちゃダメよ」(いやいや心も大事にしてくれよ、こらがダメなら他にいい方法あんのかよ!)みたいな説教するのは論外として。
自分としては丁寧に共感しながら理由を聞いたり他の方法を提案したつもりでも、当人にとっては「今の苦しさや気持ちを否定された」「ここでは自傷について喋ったらいけないんだ」となってしまうことも良くあるのでは?と思います。

「よく話してくれたね、でもこういうことはもうやめようね(ニコッ)」「うん!」みたいな優しさ溢れた対応で「いい仕事したな〜」って思ってるみたいなのが一番ホラーなんだけど、そういうのは相手の抱えている前提や、自分の言葉の前提、文脈にちゃんと目を向けないと分からないのかもしれない。

 

というリプライをいただきました。

小田さんのおっしゃる通り、リストカットは自分の中のわからない苦しさや虚しさへの対処法として、本人も「良くないこと」だと思いつつも、やむなくやっている、という認識をするのが良いと思います。

具体的にはどうすればいいの?

じゃあどうすれば良いかというと、基本的にはリストカットをやめさせるではなく
①できるだけ中立的(肯定寄り)な文脈でリストカットを扱う
②リストカットをせずとも、その人が生き延びれる状況や安心して過ごせる環境を作るためにできることを探す
SCなら②が出来る可能性がありますよね。

「やめさせる」ではなく「気がついたら回数が減っていた」「やめれるように自分で取り組めた」となるように、「やらなければならない状況」自体を変えていく取り組みを「協働的にやっていく」ということです。

①はちょっとややこしいのですが、リストカットについては中立的に、その人の感情や在り方については肯定的にということです。
リストカットについて、普通の人は否定的に関わるので、中立を徹底的にやると、ちゃんと例外として機能します。

リストカットに対する中立とは?

中立というのはなかなかに難しい。

あえて段階をつけて言葉にしてみます。

「なんでリストカットなんてしたの?」・・・「リスカするあなたはダメな人間だ」とリスカ自体も、その本人も同時に否定している。属人化。

「あなたはこの状況でよく頑張ってるよね、辛いよね。でもリスカは良くないよね」・・・リスカという行為とその人物を分けて、行為を否定し、その人を肯定しようとしているが、最後の一言でガッカリされるパターンも多い(相手はガッカリを顔には出さないかもだけど)

「リストカットも、あなたの気持ちの役に立っているところあるんだよね」・・・リスカをその人が生き延びるための対処法略として肯定的に扱っている

「やってみてどんな感じだった??(言い方や状況にもよりけりですが)」・・・ リストカットに良いも悪いもない。短期的には苦痛の低減に役立つこともあれば、長期的には身体的な傷だけでなく、周りへの悪印象や、拭えない自責感、そんなに大変なのに本当にケアしたいところはケアできず、それが自分で分かっていても、リスカを多くの人が手放せないところに、この苦しみの根深さがありますよね。

くらいななとこまで考えての一言が出せると中立に近いのではと思いますが、中立なんてことは本当はないので、ややこしく難しいですよね。

②に関しては、SCのカウンセリング以外の能力を発揮して、学校も家庭も本人も協働の仲間として一緒に(押し付けがましくならないよう)全力で取り組む、ということですが、いざという時にそう動けるように、学校の内外のリソースを見つけて、自分が動きやすい状況、関係性と信用を普段から積み上げないとという話でもあります。

 

長くなりそうなのでこの辺りで。

その2に続きます。

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