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中学で不登校、卒業後も動き出せないケースの対応法

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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卒業後も動き出せない不登校の子ども

先日、スペース海の不登校チャンネルで話したことをまとめてみたいと思います。

テーマは「中学で不登校、卒業後も動き出せずにいるケースの対応法」についてです。

これ、実は結構多いんですよね。中学で不登校になって、卒業の時にはまだ次のステップに進む準備ができてない。それで「気がついたら2年経ってた」みたいになってしまう。

「気がついたら2年経ってた」を防ぐために

まず大前提として、できれば「気がついたら2年経ってた」っていう状況は避けたいところです。

中学卒業の時点で、何かしらの積み上げ——勉強の積み上げじゃなくて、その子が家の中でも安心していられるとか、自分のことをちゃんと大事にできるっていうことが伝わるような関わりが大事なんです。

「あなた大丈夫」っていうメッセージを積み上げていく。これは積極的な関わりじゃなくて、もうちょっと静かな関わりですね。

状況を細かく見ていくということ

でも、実際に2年経ってしまった場合はどうするか。

毎回「ケースバイケース」って言わなきゃいけないのが辛いんですけど、本当にそうなんです。

その2年間で、今ご本人と家族は会話ができている状態なのか、リビングまで出てこれているのか、それとも本当に息を殺して、自分が生きてるか死んでるか周りにわからないように、親がいる間もトイレにも行けないみたいな感じでいるのか。

これによって全然対応が違うんですよね。

僕がいつも見るのは、活動の範囲会える人の種類です。

活動の範囲でいうと:

  • 自分の部屋でも布団の中から出れないのか
  • 自分の部屋だったら自由に動き回れるのか
  • 親がいない時だったら家の中を自由に動けるのか
  • 親が寝てる時は自由にリビングに出れるのか
  • 夜中にこっそりコンビニに買いに行くことがあるのか
  • この時間帯だったら図書館まで行くのか

会える人の種類でいうと:

  • 母親はOKだけど父親はどうしてもダメとか
  • 弟だったら会えるとか
  • 親戚の何々おばちゃんだったら話できるとか
  • 昔からの小学校の頃からの友達だけだったら会えるとか
  • オンラインでだったらOKとか

こういう風に細かく見ていくんです。

「引きこもり」っていう乱暴な見方じゃなくて、状況を細分化していく。そうすると「ここはできてる」「ここは課題」っていうのが見えてくるんですね。

本人の心のタイミングを優先する

親としては、学年だったり時期のタイミングで「なんとか高卒認定受けさせたい」「通信制高校に入ってほしい」って、うずうずして動きたくなるタイミングなんですよ。

でもね、学年だったり時期のタイミングと本人の心の中のタイミングだったら、本人の心のタイミングの方を優先して常に判断していただきたいんです。

これが難しいのは重々承知してます。外で同じ学年の子たちが元気に次のステップに行くのを見ると、めちゃくちゃ焦ったり不安になるのは本当にその通りです。

でも、そのタイミングじゃなくて、その子の中で動いてる時間だったり感覚だったり、今のどんな状態でいるのかっていうところに合わせたやり取りが大事なんです。

小さな変化を見逃さない

昨日とちょっと違う、先月とちょっと違う、去年とちょっと違う——そういうところをちゃんと見ていきましょう。

毎日見てるから気づける変化と、毎日見てるから気づけない変化があるんですよね。

僕がいろんな方と面接してて「前回と何か違うことありますか?」って聞くと「いや全然変わんないですよ」って言われるんですが、細かく聞いてると絶対違うんです。

そういう小さな変化のところに注目して、ちょっとその肯定的な言葉を積み上げていくっていうことが大事です。

「褒める」から「認める」へ

年齢が上がれば上がるほど、褒めるのって難しいじゃないですか。

変に褒めると「何か下心があるんじゃないか」って思われちゃったり。すごい画家の人に「めっちゃうまいですね」って言ったら失礼でしょ?「あなた何者ですか」みたいな感じになる。

だから「褒める」から「認める」にシフトを変えていかなきゃいけないんです。

「何ができるようになった、すごいじゃん」って言うと「いやいや、ちょっと大したことないから」って返されるけど、「それってできるようになるの結構難しいことなんじゃないの?」って問いかけの形で聞いてみる。

「県で10人くらいかもね」「そうなんだね、少なくとも県の上の方にはいるってことなんだね。それってなかなかできることじゃないよね」って言われたら、「うっさい」って言いづらいじゃないですか。

問いかけの形でその人の良いところを引き出されちゃうと、つい嬉しいことを喋っちゃう。そしたらもうこっちの勝ちですよね(笑)

これをブリーフセラピーでは「コンプリメント」って言うんですけど、その人のいいところを見つけてそこに言及したり、直接言葉をかけなくてもそのことに注目してるっていうことなんです。

親の気持ちが変わると目線が変わる

超絶関係が悪かったら、何言っても「うっせー」って言われちゃうから、まずは注目してる——「あなたのそういういいところがあることを私は気づきました」って心の中に書き込んで、思いに入れるんです。

前にCMで、お父さんが娘を心配してあれこれ言うと「うるさい」って言われて、「心配だな」って思って見てると「何も言ってないよ」「目線がうるさい」みたいに言われるのがありましたけど(笑)

目線って伝わるんですよね。心配の目線はちょっとマイナスに働くので、心配じゃなくて「あなたはこういういいところ、できること、私は知ってる」ぐらいの目線を積み上げていく。

親が気づくと、子どものことを見てる目線がちょっと変わるんです。目線が変わると影響が大きいんですよ。親の気持ちが変わると目線が変わって、目線が変わると親の行動がちょっと変わるんです。そうすると相互作用が変わってくる。

長い目で見て、それこそ1年2年のスパンで見ると、もう全然違うと思います。

「この子、大丈夫なのかしら」みたいな目で見てるのと、「絶対大丈夫。働かなくたっていい、この子は生きていることが大事」って思われてるのとでは、伝わり方が全然違います。

相互作用を理解する

コミュニケーションって全部相互作用なんです。黙ってるっていうのも発信なんですよね。何も発信してないってことじゃない、「黙ってる」っていう情報を発信しちゃってるんです。

 

自分がどんな気持ちでその人に接してるかっていうのは、直接顔を見なくても、どっかで伝わっちゃうもんなんです。

これは別にオカルトとかスピリチュアルの話じゃなくて、気持ちが自分の思ったようには伝わらないんだけど、思ってないところで伝わっちゃってるっていう前提でいないといけないんです。

家族なんて距離がめちゃめちゃ近いから、これは本当に伝わります。

小さな変化の積み重ね

親子喧嘩しちゃう時に、「うっせー」って言っていつも部屋にバーンって飛び出していくのを、「うっせー」って言って扉を優しく閉めるようにしたら、関係が劇的に変わったケースがありました。

明らかに何か伝わるじゃないですか。「本当は喧嘩したくないんだ」「僕のこと、すごい嫌いなわけではないかもしれない」っていう疑問が生まれる。

そんぐらいのことで人と人との関係って変わるんです。家族だったら、その小さな変化の積み重ねが大きな変化につながっていく。

DoingとBeing

これ、カウンセリングってこういうことだと思うんですよ。

何かdoing——直接に関わって相手に変化を起こすみたいなことを僕らはやっぱりしがちなんです。そういうことが求められるし、もちろんdoingで介入することも大事なんですけど、

Being——ここに一緒にいるってことだけで、「あなたのこと大事」とか「あなたが生きてることにちゃんと価値がある」「人生に価値がある」、そういう価値がないんじゃないかって苦しんでることに気づいてる人が会ってるっていうことに、すごい実は力があるんです。

これは別に不登校の話だけじゃない。人と会う時に、どうやったらその人がエンパワメントされていくかっていう真髄なんじゃないかなって僕は思います。

最後に

本当は気持ちを変えるのは難しいから、ちょっと行動を変えるっていう介入をするんですけどね。ちょっと行動を変えると何かフィードバックがあって、気持ちが変わるっていう、ここがカウンセリングのもう一つの面白さです。DoingとBeingがここで出会うんです。

心だけ変えるのはめちゃめちゃ難しいんで、試しにちょっとやってみる。嫌いな人にお菓子あげるとか(笑)相互作用を変えるっていうことですね。

自分の中で変えるだけでいいんです。勝手に出ますから。

気持ちが変われば目線が変わる。目線が変われば子どもとの関係も変わっていく。みんなで実行していけたらいいなと思います。

不登校勉強会&プチ相談会についてのお知らせ

少人数で、安心して話せる時間

不登校は、単に「学校に行けていない」状態だけを見てしまうと、どうしても“問題”として扱われがちです。けれど、子どもが学校に行けない背景には、さまざまな事情や心の動きがあります。
そんな時に親や支援者がどのようなことを知っていれば適切に対応できるのでしょうか?そんな小さなヒントを共有できればと思っております。
今回の勉強会では、

「褒める」と「認める」の違い

についてお話します。
褒めて伸ばすのもいいのですが、褒めるの中に潜んだ「認める」が意識できると、子どもが変化します。

プチ相談会もあわせて

後半は、参加者同士や講師との対話を通じて、不登校にまつわる悩みや疑問を気軽に相談できる時間にします。初めての方も、安心してお越しください。

開催概要

  • 日程:2025年9月20日(土)

  • 時間

    • 対面 午前10:30~12:00

    • オンライン(Zoom)20:30~22:00

  • テーマ「褒める」と「認める」の違いについて

  • 講師:掛井一徳(臨床心理士/公認心理師)

  • 場所:天白こころとからだのケアセンター
    (名古屋市天白区/地下鉄植田駅徒歩2分 仁ビル内)

  • 参加費:1,000円

  • 定員:対面6名、オンライン12名

  • お支払い方法:現金、PayPay、銀行振込に対応

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