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補助線を引くということ:曖昧なイメージの話を具体化するために

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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イメージと感覚

臨床の現場では、相談者が「イメージのまま」「感覚のまま」でお話をされる場合があります。それはそれで悪いことではありません。けれども、もしそのイメージや感覚で話していることで、セラピストがピンとこないまま回数が進んでしまうのは避けた方が良いかもしれません。(もちろんイメージをイメージのまま扱うやり方の切れ味はすごいものがありますが、それができないのであれば、という話でもあります)

そこで重要になるのが「補助線を引く」という関わりです。共通認識を得るために、言葉でイメージと現実の間に橋をかけていく。その線があることで、相手は自分の体験を改めて整理できるようになります。

ロジカルな語りとイメージの語り

相談者の中には、非常にロジカルに話をする人もいます。

「母との関係で困っている」「この場面で怒りが湧く」「そこにはこういう理由があって」といったように、ある程度具体的に筋道を立てて語る人です。

一方で、イメージや雰囲気の語りが優勢で、それを筋道立てて言葉にする準備性があまりない人もいます。その場合、「なんかわかるかも?」と感覚レベルでの共有はあっても、それを理解へとつなげていく道筋が見えにくくなります。

ここで必要になるのが、セラピストが補助線を引く工夫です。

「イメージ」を具体化する問いかけ

たとえば「安心感」という言葉。
「安心感が持てるようになりたい」と話されている場合。

「あなたの言う安心感とは何ですか?」と問いかけても、話せる人もいれば言葉が出てこない人もいます。そこで次のような問いかけを工夫します。

「もし今あなたが安心感を持てていたら、どんな行動ができていると思いますか?」 「例外的に安心感を持てた経験はありますか?」 「過去に自信を感じられた場面はありませんか?」

部活動の試合や、空手で相手と向き合った瞬間など、思いがけず「例外的な自信の体験」が語られることがあります。そこから「自信」という言葉に輪郭が生まれ、リアリティを帯びてきます。

自信の形を一緒に探る

補助線を引きながら、その人の生活の中で「自信のなさ」がどう現れているかを具体的に見ていきます。

たとえば「自分がしんどい時でも、いつも親の顔色を伺って元気なふりをしてしまう」という話であれば。もし安心感があれば「今日はちょっとしんどい」と伝えられるかもしれない。相談者が「それができたらいいかも」と感じられたら、そこに新しい安心感の形が見えてきます。

つまり、この人の言う安心感とは「自分が少しでも相手に不安や不快を与える行動言動をしたら、相手がどんな反応するのかわからない怖さ」みたいなものかもしれない、という仮説を立てることも可能ですよね。

またそれが、親以外の人の場合はどうなのか?例外的に大丈夫な相手はいるのか?といった問いかけが、さらに具体的に「この人の話されている安心感がなんなのか?」ということに手触りを与えてくれるはずです。

そうすることで、過去の体験や現在の人間関係の中で突破口が見えてきます。

補助線を一緒に引く作業

補助線とは、セラピストが勝手に引くものではなく、クライアントと一緒に「この線で考えるならあり得るかも」と確認しながら引いていくものです。

的外れであれば相手はその線に乗ろうとしません。逆に「これはありだな」と感じれば、そこから少しずつ言葉を積み重ねていくことができます。

つまり、補助線を引くとは、相手の思考が右へ左へ、上へ下へと動けるようなハシゴやとっかかりを一緒に作っていく作業なのです。

SV(スーパービジョン)においても

「安心感」だけでなく「不安」「トラウマ」「元気」「自信」「プライド」といったように、 左門皆が同じものとして共有しているつもりで、使いがちな言葉でも、実際には話す一言、相談者ごとに輪郭や意味合いは大きく異なります。

その曖昧な言葉に補助線を引き、確認をし、形を見出す過程自体が、カウンセリングの大切な営みではないでしょうか。
でもこれ実はスーパービジョンでも同様なことだったりもします。
なんとなくのイメージで語れることに少しずつ輪郭をつけていく、手がかりを探していく共同作業が、相談者の現実をよりはっきりと色付けて、解像度を上げて語られるようになっていく。

このプロセスを経てこそ、見立ての精度が上がっていくのでは?と考えております。

お知らせ

私が運営している かけい臨床心理相談室 では、スーパービジョンや研修を通じて、こうした「経験を気づきに変える」サポートを行っています。

また、臨床心理学超基礎講座の1DAYワークショップも開催予定です。今回のブログの話は、基礎講座の中の「問いを立てる」の一例でもあります。
スクールカウンセリングで使える「魔法の杖」となるような解決志向の手法についても扱いますので、ぜひチェックしてみてください。

 

臨床心理学超基礎講座 1DAY集中ワークショップのご案内

解決志向 超基礎講座 – 3

さらなる学びを希望される方へ

臨床心理学超基礎講座で扱ってきたテーマを、1日で体系的に学び直すワークショップを開催します。
基礎を点ではなく“流れ”としてつなげ、臨床の地図を体感的に描ける機会です。

開催概要

  • 日時:2025年10月5日(日)10:00〜16:00
  • 形式:オンライン(Zoom開催)
  • 対象:臨床心理士、公認心理師、スクールカウンセラー、教育・医療・福祉領域の専門家

プログラム内容

  1. 傾聴
  2. 見立て
  3. 治療構造
  4. 共感
  5. 助言・理解の伝え方

各テーマをつなぎ合わせることで、臨床に必要な“基礎の地図”を描けるようになります。

ワークショップのメリット

  • 1日で基礎を体系的に整理できる
  • 録画視聴で何度でも学び直せる
  • 実際の参加者からは「自分のやり方が整理できた」「面接が安定しそう」といった声が届いています

学びの継続が実践を広げる

臨床の学びは、続けるほど深まり、深めるほど実践の幅が広がります。
録画で内容を丁寧に振り返るのも、ワークショップで体系的に再構成するのも、どちらも有効です。

あなたの臨床理解と実践がさらに豊かになることを願っています。

お申し込み

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解決志向・超基礎講座のご案内

はじめに

「問題をどう分析するか」ではなく、
「どうすれば解決に近づけるか」に焦点を当てる。

そんな 解決志向ブリーフセラピー の考え方を、学校現場や臨床の実践に活かすための基礎講座を開講します。

講座の目的

  • 問題の原因探しにとらわれず、解決像を描く方法を学ぶ
  • 子ども・保護者・教職員と協働しやすい支援の組み立て方を知る
  • 現実的かつ共有しやすい視点で、日常の実践に生かす

プログラム内容(全6回)

  1. 解決志向の基本理念
     問題志向との違いを理解する
  2. 解決像を描く
     「どうなったらよいか」を丁寧に聴く
  3. リソースに注目する
     すでにある力や例外的な成功体験を見つける
  4. 小さなステップをつくる
     “スーパースモールステップ”で実行可能な課題を設定
  5. フィードバックと振り返り
     介入の効果を見極め、柔軟に修正する
  6. 学校現場・日常臨床での応用
     コンサルテーションやケース会議で活かす方法

この講座で得られること

  • 現場で実際に使える言葉が増える
  • 支援の方向性が整理され、迷いが減る
  • 「子どもや先生と一緒にやっていけそう」という実感が持てる

実際に受講された方からは、
「現場で使える言い回しがすぐに見つかった」
「面接やコンサルが安定しそう」
といった声が多く届いています。

対象

  • スクールカウンセラー、公認心理師、臨床心理士
  • 教育・福祉・医療領域で対人支援に関わる方
  • 「解決志向に興味はあるけれど、基礎から学びたい」という方

開催形式

  • Zoomによるオンライン講座
  • 講義+ディスカッション
  • 録画視聴あり(復習・繰り返し学習が可能)

お申込み・詳細

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まとめ

解決志向は、「現実的で共有しやすく、すぐに使える」 という点で、学校現場や日常臨床にぴったりのアプローチです。

問題の原因ではなく、未来の可能性に焦点を当てる支援を一緒に学びませんか?

 

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