現場によって変わる「立ち位置」と「距離感」 〜支援者に求められる柔軟さとは〜

現場が違えば役割は変わる
心理士であっても、関わる場所が変われば求められるニーズは大きく違います。
病院、学校、福祉施設──
どの場に身を置くかによって、支援者に期待される立ち位置や距離感は変化します。
ある現場では「できるだけ影響を与えないこと」が重視され、別の現場では「積極的に介入して支えてほしい」と求められることもあります。
同じ人が同じように関わっても、結果が全く異なって受け止められるのです。
「関係の一点集中」を避けるという視点
支援を受ける側が不安や傷つきを抱えていると、どうしても一人の支援者に寄りかかりやすくなることがあります。
関係が近づくこと自体は大切ですが、支えが一人に集中しすぎると、離れるときの負担が大きくなってしまいます。
だからこそ、支援を多点化する ことが重要です。
家族、学校、医療、地域など、複数の支えを土台として広げることで、安心と自律の両方を守ることができます。
「引いて見る」だけでなく「横にいる」あり方
支援者はしばしば「一歩引いて観察する視点」を学びます。もちろん大切なことですが、それだけでは十分ではありません。
ときには「信頼できる大人」として隣にいて、同じ場を共有するあり方も重要です。
支援を受ける側にとって「そばで一緒に過ごしてくれる存在」があることは、大きな安心や励ましになります。
観察と実際の関わりを行き来しながら、
「この人にはどんな強みや難しさがあるのか」
「この関わりはどんな影響を与えているのか」
を職員や同僚と対話していく。
そうした姿勢が、現場での理解を深めていきます。
学びのプロセスとして
こういった悩みや迷いは、学生が初めて実習に入ったときや、ある程度仕事を経験した後に、新しい職場に入ったときに強く感じるものです。
そんなときは、まず他の人の関わり方を観察してみましょう。
そこにある工夫や距離の取り方、何を優先しているかという価値観を考え、自分なりに仮説を立てて実践してみることです。
うまくいかなかった部分は、一人で抱え込まず、信頼できる先輩や上司に相談してみる。
この繰り返しこそが、支援者としての成長を支えていきます。
まとめ:柔軟に立ち位置を変える力
支援者の立ち位置は「固定されたもの」ではありません。
現場の性質、そこで生きる人々の状態、そして周囲の職員が持つニーズによって、支援者の距離感や関わり方は変わっていきます。
大切なのは、 安心して寄りかかれる瞬間を確保しつつ、最終的には自分の選択と調整力を取り戻せるように、支えを多点化していくこと。
その柔軟さこそが、心理士をはじめとする支援者に求められる大切な資質なのだと思います。
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