スクールカウンセリングにおける解決志向の有用性
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私は、スクールカウンセリングにおいて「解決志向」が非常に役立つと考えています。「解決志向」とは、ソリューションフォーカスアプローチ(SFA)とも呼ばれ、インスー・キム・バーグやスティーブ・ド•シェイザーが提唱した、ブリーフセラピーの一つの流派です。このアプローチは、問題そのものではなく、「どうなったら解決か」を明確に設定し、そのゴールに向かって具体的に行動を積み上げていくものです。これを「解決を構築する」とも表現します。
この解決志向がなぜスクールカウンセリングに役立つかというと、通常の思考プロセスでは問題志向が主流になりがちだからです。例えば、不登校の子どもがいる場合、原因を特定しようとする傾向があります。「家庭環境の問題ではないか」「いじめがあったのではないか」といった議論が行われます。確かに、いじめのような問題があれば学校内で子どもの安全を守るために対応する必要があります。しかし、原因を特定しただけでは解決につながらないことが多いのです。
問題志向の限界
不登校を例にとると、問題は非常に複雑で、一つの明確な原因だけを取り除けば解決するというものではありません。学校での問題は複合的な要因が絡み合って起こるため、「原因を取り除けばよい」という考え方では不十分なのです。また、問題志向に基づく議論では、子供の弱みや問題点についての情報が集まり、原因はたくさんあることが分かるのだけど解決への手立てが見つからず、関係者全員が疲弊してしまうということになりがちです。
解決志向のアプローチ
解決志向では、原因の特定よりも、「何を実現したいか」に焦点を当てます。たとえば、不登校の子どもに対しては、学校に行くかどうかを置いておき、「親子のコミュニケーションが良好になる」「子どもが自分の好きなことに主体的に取り組めるようになる」など、小さな目標を設定します。そして、その目標を達成するために必要な具体的な行動を一緒に考え、実行していきます。
例えば、「アイドルやVtuberのイベントに行きたい」という目標があれば、そのための道順を調べたり、必要な費用を計算したりすることから始めます。これにより、子どもが自分自身で行動する力をつけるサポートができます。また、保護者に対しても、子どもとの関係を深める機会としてポジティブな視点を提供します。
学校現場での実践例
解決志向の考え方は、学校の先生方にも受け入れられやすい特長があります。先生方は子どもの課題解決能力が高まることを願っています。そのため、「プラスの階段」を一緒に上るような解決志向の取り組みは、学校現場においても協力を得やすいのです。例えば、不登校の子どもに対し、「どのタイミングなら楽に学校に来られるか」を話し合い、小さな成功体験を積み重ねるサポートを行います。
まとめ
解決志向は、子どもや保護者だけでなく、学校の先生、スクールカウンセラー、さらには地域のサポートスタッフなど、関わるすべての人をエンパワーメントする力を持っています。スクールカウンセリングにおいて解決志向を取り入れることで、問題解決への新しいアプローチが可能になります。
また、かけい臨床心理相談室でのSVは、この解決志向という考え方に沿って行なっております。
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