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カウンセリング初心者Q&A:話がそれるとき、どう聴くか

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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本題から外れるときの「意味」

カウンセリングをしていると、クライアントが話しているうちに「少し本題から外れてきたな」と感じる場面があります。
しかし、その“脱線”の中にこそ、重要な意味が隠れていることがあります。

たとえば、不登校の子どもが初めてカウンセリングに来て、「これすごい物なんだ!」と何度も持ち物の自慢をしてくる。
一見すると“関係ない話”のように思えるかもしれません。
でも、長く引きこもっていた子が人と関わる最初の場面で、めちゃめちゃ不安で自信がないはずなのを、なんとかここまでやってきたわけです。自分の持ち物を通して自分を表現している——それは、「自分を受け入れてほしい」「価値のある存在だと感じてほしい」という願いの表れかもしれません。

私たちが「もうその話はいいかな」と判断して話を変えてしまうと、子どもに「自分の話は聞いてもらえなかった」と感じさせてしまうことがあります。
逆に、その“ずれている”ように見える話の中にある気持ちを想像しながら少し深めていくと、安心感が生まれ、次の段階へ進めることがあります。
次に来た時にはも自慢話をせずに、自分の大変なことや人との関係について話されることもありますよね。

ジャッジを手放すということ

私たちは「何がクライアントにとって良いか」を考えすぎるあまり、つい判断してしまうことがあります。
たとえば、「この子が自慢ばかりしているから、友達ができないんだ」とか、「誤学習しないように正してあげなきゃ」といった考えです。
でも、カウンセリングの場面では“正す”よりも“受けとめる”ことが重要です。

本人が「その話をなぜするのか」という必要性を感じながら話していることがあります。
その必要性に気づかずに「違う話をしましょう」と切ってしまうと、まだ安心していない相手の心が閉じてしまうこともあります。
だから、ジャッジしきらず、「なぜこの話を今しているのだろう?」と仮説を立てながら聴く。
それが、カウンセラーに求められる姿勢だと思います。

安全な場としてのカウンセリング

カウンセリングの中で話がずれるとき、実はその瞬間に「この人にどこまで話していいか」を試していることがあります。
たとえば、大人でも子どもでも、“脱線”しているときほど目が輝いていることがあります。
ホラー映画の話でも、昔のゲームの話でもいい。
その人が「自分の世界を安心して語れる」時間が生まれているなら、それは心の回復が起きているサインです。

誰かに話しても理解されなかったことを、初めて「うんうん」と聴いてもらえる。
そういう経験の中で、人は少しずつ他者への信頼を取り戻していきます。
ですから、「これは関係ない話だから切り替えよう」と思う前に、「この話が今、何を意味しているのか?」と一呼吸置いて考えてみる。
それが“話がそれたときにどう聴くか”の基本かもしれません。

一見関係ないところに「価値」を見出す力

私たちが聴くべきなのは、言葉そのものではなく、そこに流れている意味や感情の方向です。
脱線した話題には、クライアント自身がまだ意識できていないテーマや、今まさに必要としている何かが含まれていることがあります。

だからこそ、「これは関係なさそうだ」と切り捨てる前に、
「この話がこのタイミングで出てくるのはなぜだろう?」と問いを立て続ける姿勢が大切です。
ここで必要なのは、すぐに答えを出さずに“わからなさ”に留まる力――
いわゆる**ネガティブ・ケイパビリティ(Negative Capability)**です。

【不登校】子どもへの声のかけ方・・・ネガティブ・ケイパビリティ

この「わからなさに耐える力」があるからこそ、
私たちは一見的外れに見える話の中にも価値を見出し、
そこから新しい仮説を生み出していくことができます。
仮説を立てながら、それを確かめるように聴き進める。
この仮説生成のプロセスこそ、臨床家としての思考の核です。

外れているように見える話題を「まだ何かが生まれる途中の場」として聴けること。
それこそが、クライアントの内的世界を開いていくための、臨床家の成熟につながる力ではないでしょうか。

まとめ:安全感の中で「外れる」ことの意味

話がそれるというのは、カウンセリングにおける安全の証でもあります。
外れることができるということは、「ここなら大丈夫」と感じているからこそ。
そして、その“外れた時間”の中で、クライアントの心が少しずつ回復し、関係が深まっていきます。

もちろん、いつもそれが正解というわけではありません。
ときには枠を戻す必要もありますし、セッションの構造の中で整理することも大切です。
それでも、「外れた話の中にも意味がある」と思いながら耳を傾ける——
そこに、カウンセリングの本質があるように思います。

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