【本】厳しい指導が成功する条件「あなたの子どもはなぜ勉強しないのかーそのアドバイスが子どもをダメにするー」より
厳しい指導は役に立つのか?
神戸に、不登校の子どもや公立進学校、私立高校を中退した子どもたちが通い、まずは自信をつけて元気にする、という心理学アプローチ(主に解決志向やシステムズアプローチ)で次々に難関大学に合格させるという神戸セミナーという予備校があります。
その神戸セミナーの校長でもありカウンセラーでもある喜多徹人先生の書かれた「あなたの子どもはなぜ勉強しないのかーそのアドバイスが子どもをダメにするー」(学びリンク)が、単なる自己共を自勉強させるための本都市でだけでなく、子どもの良さややる気を引き出す本としてめちゃめちゃわかりやすく優れていますので、いつか紹介したいと思っていました。
このほんの中で厳しい指導が成功する条件について書かれているところがあります。
今回はそちらの紹介をさせていただこうと思います。
「厳しい指導」が成功するための条件
この本では「厳しい指導」が成功するための条件として次の3つを挙げています。
1.目標が具体的で明確
2.自身を持っている(指導を受ける方が)
3.関係性が構築されている
喜多先生は、ご自身の高校野球(甲子園に出場経験あり)での経験と、その後の野球部のコーチの経験(鬼コーチだったようです)から説明されていますが、これは勉強でも他のスポーツでも全く同じだといいます。
①目標が明確でないと「何いってんの」となってピント外れとなり関係性が悪化するだけ
②自信がないと「ああやっぱり自分には無理だ」となって逃げたり避けたりするだけ
③関係性ができてない相手だと反発してさらに関係性が悪化するだけ
となってしまいます。
出典:あなたの子どもはなぜ勉強しないのか p87〜88
①について、例えば、親や学校の先生が「今の成績ならここ狙えるよ」とか「○○高校に以上じゃないキャ絶対ダメ」とか「お前は絶対にサッカーでプロになるんだ」とか、親や指導者、学校の先生などが子どもの思いを十分に引き出さずに、耳を傾けずに目標や成長の方向を決めてしまった場合、厳しい指導をすればするほど、子どもはやる気を失っていき、「やらされる感」が強くなっていくことでしょう。
辞めることができればいいのですが、何らかの理由で拒否できない場合は、子どもの心はどんどん追い詰められ、やる気が無いと怒られ、にっちもさっちもいかない状況でパンクしてしまうことは目に見えているでしょう。
②これポイントは指導者の自信でなく、指導される側の自信ということです。
厳しい指導ということは、ただ単に厳しいことをやらせるというわけではなく、そこに「現在の姿の否定」「そんなんでどうする!」という側面があるわけです。
今の子供の姿を否定することで、「なにくそ!」という気持ちを鼓舞する、という意味があるんです。
つまり、「なにくそ!」と思えるだけの自信がない子どもは、ただ単に傷つけられるだけで全くやる気が出ない、というかやる気が無くなっていってしまうということです。
そうするとそこに「やる気あるのかてめえ!」という罵声が飛んでくるという悪循環が始まります。
自信がない子には、厳しく指導は意味がないどころか傷つきが残るので明らかに有害といってもいいでしょう。
③例えば、子どもとしては親子の関係性を求めているのに、親が急に厳しく勉強を教えようとしてきたり、スポーツのコーチになろうとしたら、反発心がわきますし、まともに話を聞くきにもなれないですよね。
Twitterなどでたまに見かける「アドバイスおじさん」なんてのもまさにそれで、「この人から教わりたい」と思えたり、すでに教わる契約や構造の中に過ごしていない限り、厳しい指導や助言なんてものは成り立たないんです。
特に「明確な目標」「関係性」ということに関していえば、指導する側とされる側に「合意」が形成されているかどうか、というところがポイントかと思います。
そして普通は親子関係などでも部活でも、この①〜③の条件と合意がなされることのほうが稀ですし、そもそもそんな条件についてちゃんと考えていない指導者も多いわけで。
つまり厳しい指導というのは、多くの場合は指導している側が期待する効果は出ていないですし、効果が出ていないことを指導される方の責任として押し付けて、反省のないままそういう指導が続いているということがままあることでしょう。
つまり、指導者が「厳しい指導をしたい」と思っても、この3つが揃ってないことがほとんどなので、その指導は思ったようにはうまくいきませんよという話でした。
厳しく指導の条件がそろっていないとき
「厳しく指導」の条件が揃っていないときにどうしたらいいのか?ということについても答えが書かれています。
「厳しく指導」の条件がそろっていないとき
まずは
・否定しない
・できれば肯定する
・目指すは受容と共感
出典:あなたの子どもはなぜ勉強しないのか p88
①否定しないことで関係性を構築する
②肯定することで自信をもたせるようにする
つまり受容共感と肯定をすることで、子供の中に「なんか頑張れるかも」「じぶんにもなにかやれることがあるかも」という肯定的な未来を想像するスペースを作るということかと思います。
③自信がつけば「本当の目標」が決まってきます
ここで本当の目標というのは、その子の中から生まれてきた目標ということです。
さあやっと「厳しい指導」が出来るぞ!と思うかもしれませんが、ここまでくれば厳しい指導などなくても子どもは目標のために頑張ろうとするでしょうし、指導者も「厳しい指導」など実は必要なかったことに気づくかと思います。
家庭において
学校や塾での学習や、部活動やクラブチームなどの指導以外に、家庭でも子どもへの厳しい指導というのが行われていることがあります。
例えば目標の高校や大学を目指して勉強をさせたり、たとえばお稽古ごとであったりするかもしれません。
もしも、厳しい指導をしているのに上手くいっていない、子どもの眼が死んでる、子どもが反発するようになってきた、他のことをやりたいと言い始めた、ということがあったなら、一度上記の3つの条件についてチェックしてみてもいいかもしれません。
ちなみに親子の関係性で「厳しい指導」が成り立つ場合は、親か子どもが、その親子の関係性どこかでを諦めているときではないかと思います。
目標が達成できたとしても、どこかでその歪みのツケを親子で払わねばならないときが来るかと思います。
「共感」と「理解」、子どもの「肯定」をベースにした、子どもの自信に基づいた親子の関わりに一旦戻ってみることをおすすめします。
もしも、今まで否定の言葉をたくさんかけてきてしまったのなら、「否定しない」というだけでも子どもには大きなインパクトがあります。
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