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褒めることが最良とは限らない

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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褒めることは主体性を伸ばす最良の方法ではない

「子供は出来るだけ褒めた方がいい」って、以前は思っていたのですが。

 

カウンセリングの仕事をやっているうちに、子供の主体性や自尊心を高めるためには「褒めること」は決して「最良」の方法ではないことが、実感としてだんだん分かってきました。

 

先に結論を言うと、言葉で褒めるよりも、子供が関心を持った目線や、子供が取り組んだことへの質問、プロセスへの肯定的関心や、達成したことを一緒に素直に喜ぶことの方が、子供の主体性や自尊心を高めることに繋がると僕は思っています。

 

そりゃあ無関心や批判よりは、褒めた方がいいとは思います。

 

褒めるっていうことは、一見いいことのように見えるけど、その実、常に子供を親や世間の尺度で「評価」しているということです。

 

「評価」ってのはつまり「条件付きの承認」ってこと。

「目標の◯◯まで到達したらOK」ってメッセージの裏には「◯◯まで到達しなかったら☓」ってメッセージが言葉にされずとも含まれているんですよね。

 

(人の言葉って、表メッセージの言葉にならない裏のメッセージのほうが、実は心に入っているものなので「それって裏を返せばこういうことじゃないのかな?」って考えてみることって、臨床家には必要なことだと思います。)

 

「ああ、こうすれば褒められるんだな」ってのが分かるので、そこを狙っていこうとするんだけど、一番大事な『自発的な動機』『心の底から湧き上がってくるやる気』みたいのが、あんまり強化されない。

 

場合によってはやる気自体を失わせてしまうこともあります。

 

褒められる⇒嬉しくて頑張る⇒自信がつく、というストーリー

 

子供は、自分の大事な人に褒められて嬉しいからより頑張るわけだけですが。

 

その感張りを見て大人は余計に褒めたくなるし、そうすると子供は余計頑張って、うまくいけば自信がつく、っていう理想的なストーリーを人は当然のように思い描くんだけど。

 

そのストーリーについて、「いつまで、どのくらい成長したところまで適用可能なのか?」ってことを具体的に考えている人はまれでしょう。

 

だいたいにおいて小学校の中学年や高学年になると、それまで無条件に取り入れて来た親や先生、大人の言うことに対して「批判的」に受け止めるようになります。

 

自分がいいと思った人の言うことは真剣に聞くけど、こりゃ違うだろ、と思ったことは真剣に聞かないでいるとか。

 

つまり相手の言葉を「評価」して、取り入れるかどうかを自分の心で「判断」するようになるということです。

 

親にほめられるから⇒自分がやりたいから

「親に褒められるから」ということよりも「自分がやりたいから」「自分にとって必要だから」ということの方が重要になっていきます。

 

そうするとそのストーリーは適用出来なくなるし、「本当にうちの子は全くしょうがないんだから」ということになって、子供を不必要に怒ったり、せかしたりすることになります。

 

その親の気持ちの根底には「ちゃんとやったら褒めてあげるのに、なんで一生懸命やらないの?」って考えがあるのかもしれません。

 

でも子供自身の考える力、価値観が育ってきて、そういう親の考え方、関わり方が子供だましだなと無意識に思い始めた子供たちは「うん」と言いつつほっておいて自分の好きなことをギリギリまでやる、という方略に出ることがあります。

 

こういうのって、親にとっては嬉しくないかもしれないけど、これは子供の主体性がちゃんと育っている証拠、成長している証拠でもあります

 

でも下手すると、子供が高校生や大学生、社会人になっても、幼いころと同じ方法を適用しようとする親もいます。

 

そして「いつも子供が言うことを聞かない!」と不満を抱いているかもしれない。

 

でも、恐ろしいというか悲しいことに、親が褒めてくれることや喜ぶことを、自分が嬉しかったりやりがいを感じることよりも大事に思い続ける人もいるんです。

 

それが恐ろしいことだと思わない人もいるとは思うけど。

 

僕は恐ろしいことだと思います。

 

親の評価や喜び⇒自分のやりたいことややりがい

とはいえ、たいがいは親が褒めたってけなしたって、子供は独自の考えや意思を持って、自分で考えて行動できるようになるものです。

親孝行な子、自分の思いよりも他人の気持ちを大事にするいい子ほど、親の影響を受け、縛られ、自分の道を歩き出すのに苦しむことが多いのでは?と思います。

 

褒めることが悪いことじゃないんです。

 

その人の存在そのものを認めるために

「その人の存在そのものを認める」という基盤を作らないで、社会や大人の都合や善意で、勝手に作られた課題や目標について「出来た出来なかった」や、相対的な評価の上での買った負けた、順位が上がった下がった、ということを元に、やたらに「褒める」ということは、ちょっとまずいんじゃないでしょうか?

 

最初の方に書いたのですが、認めるということは、子供の感じたこと、興味関心や、その存在について、①評価しないこと、②関心を持つこと、③感じたことを共有すること、この三つを積み重ねていくことなのかなと思います。

 

人はついつい、子供ができるようになること、新しいことを理解すること、成長することに焦点を当ててしまいますが、成長するための基盤としての、基本的な自尊感情をベースとしてしっかりと形成されることが大切なのではないでしょうか?

そんなふうに思います。

 

下記の記事も一緒にどうぞ。

【不登校新聞】子どもが不登校になったとき 親にできる「居場所」の見つけ方

 

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