【カウンセリングはじめの一歩】初回面接のはじめの一言について

一緒に考える枠組みを作る
どうやって「一緒に考える」枠組みをくくっていくのか? カウンセリングが始まるときの最初にすることは2つあります。
目次
Toggle①ねぎらい
まずここに来られたことへのねぎらいです。 「今日は暑かったですね」でも「道はわかりにくくなかったですか?」でも、その状況に合う言葉で、できればその人にフィットしそうな言葉を見つけて、一言ねぎらいの言葉をかけることで、少しでも「来てよかったな」とホッとしていただければ、それだけでカウンセリングのその後のプロセスに希望が持てるかと思います。
②スターティングクエスチョン
ねぎらいを伝えてから「今回ここでお話したいことってどんなことですか?」とできるだけ聞くようにしています。 ほかにも「今現在お困りのことや、解決したいことってなんですか?」と聞くこともありますし、スクールカウンセリングなどで、すでに来談の目的が明らかな場合は「◯◯のことで相談に来られたと伺っていますが?」といったような尋ね方になったりしますが、大事なのは「今回の私とあなたの一緒にいるこの場、この時間は、どんなことをする場、時間にしましょうか?」という問いかけが、なんらかの形で伝わることだと思います。
前提の提示
この「今現在お困りのことや、解決したいことってなんですか?」って聞き方には、いくつかの意味が内包されています。 ①「あなたは困っている人」「私は解決する人」という関係性の規定 ②「あなたは困っていて、それを解決したいと思っている(解決したいという意志がある)」というこちらの前提の提示 ③「私はあなたの困っていることを解決しようとする姿勢を持っていますよ」という意志の提示 こういった援助関係の枠組みを一言で提示することができるので、今現在困っていてどうにかしたいと思っている人にとっては、この入り方は自然で「実は・・・」と安心して話しだすことができるかもしれません。
注意点
ただ「あなたは問題を抱えているよ」「私助ける人、あなた助けられる人」という枠組みの安易な提示は ・自分自身は困っていないと感じているのに、何かの圧力でカウンセリングの場に来ることになってしまった人 ・自分の中で今困っていることが何なのか?そもそもこのカウンセリングに来ることに意味があるのか?と考えながら来談した人 にとっては「ひどく窮屈で」「押し付けられ」「気取っていて」「馬鹿にされている」ような気がする一言かもしれません。
事前情報がある場合
「◯◯のことで相談に来られたと伺っていますが?」という聞き方には「本当に今のあなたはそれでOK?」「ほかに何か話したいことがあるんじゃないの?」「この情報ほんとうに正しいのかな?」っていうニュアンスが込められています。 相手が「そうなんです!」と勢い良く話し始めれば、そのまま話の流れに沿って聞いていけばいいですよね。 もしも、相手が曖昧な反応をした時には(少々野暮な聞き方になっても)先ほどのニュアンスの部分を言葉にして尋ねることが出来ます。 「事前に聞いた情報は、それはそれとして、今のあなたはどんなことを目的として今ここに居るんですか?」 という問いかけが出来ることができればいいと思います。
まとめ
カウンセリングに来られる方は、実際に来る決断をするまで、インターネットで調べたり、本当に必要なことか考えたり、道を確認したりといった事も含め、カウンセリングにたどり着くまでが、そもそも大変なことなのです。 カウンセリングでは実際に話を聞かなければわからないこともありますが、お会いする前に想像することで、その大変さをイメージしたり考えることが出来ることもあります。 よく状況を見てねぎらいを繰り返していくことで、ねぎらいの精度は上がっていくと思いますし、逆に考えなしにしていれば、どんどん陳腐なルーティーンになっていくかと思います。 繰り返すことほど、よく考えて精度を上げることで、相談に来た方の支援がスムーズになっていくことでしょう。
傾聴に関する研修のご案内
研修日時:2024年4月18日 21:00~23:00(オンラインでの事後視聴も可能です)
場所:Zoomにて
テーマ:「傾聴からはじめよう」
詳細・お申し込みはこちらから:
研修詳細・申し込みフォーム
自分の臨床の中で「基礎のさらに手前のところ、発想や視点の切り替えについてもう少し成長したいな」と感じている方には、ぜひ『臨床超基礎講座』にご参加いただけたらと思います。
学校や通常の研修では、どうしても“その先”の内容にフォーカスされがちです。でも、この講座は、その“手前”の部分——基礎の基礎を、丁寧に扱う研修です。とはいえ、受けてみて「全然手前じゃないじゃん!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが……(そのときは、そっと苦情ください)。
講座は4月から始まります。現在の予定では、毎月第3金曜日の21時〜23時に開催予定です。
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第1回(4月18日):傾聴からはじめよう
→ 傾聴は知っているだけではなく、「できる」こととの間に大きな距離があります。解像度を一緒に上げていきましょう。 -
第2回(5月16日):治療構造
→ “治療の枠”をどう考えるかについて深掘りします(※変更の可能性あり)。 -
第3回(6月20日):見立て
→ 「そんな見立てもアリなの?」と思ってもらえるような、面白い内容になると思います。 -
第4回(7月18日):共感
→ 共感は奥が深くて、踏み込んでいくととても面白いテーマです。 -
第5回(8月15日・お盆):理解を伝える(予定)
→ 言い方ひとつでクライアントの反応が大きく変わります。ここでは“抵抗処理”の技法にも触れられたらと思っています。 -
第6回(9月19日):まとめと質疑応答
→ 全体の振り返りと、皆さんの疑問にじっくりお答えします。
そして、後半は10月17日から始まる『解決志向・超基礎講座』。どの理論的背景を持つ人にも役立つ内容を予定しています。
いずれの講座も、参加者の皆さんや、参加されない方の声も取り入れながら、今まさに作っているところです。「こういうところに困っている」といった声に応じて、内容を調整していきたいと考えています。
▼ 詳細・お申し込みはこちらから: https://pro.form-mailer.jp/lp/735d131a326854
また、講座準備の一環として、「カウンセリングに関する基礎的な困りごと(傾聴・関係づくり・治療構造など)」に関する情報を集めています。
実際の現場で感じていること、疑問に思っていることを、以下のアンケートフォームからお寄せください。
皆さまのお声をもとに、より実践的で役に立つ講座にしていきたいと考えています。
▼ アンケートご協力のお願い: https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc8RJ60vZgjrulKrvRrRF5VqnCZnZlFzgf6wBByqvrrBVj1gA/viewform?usp=sharing
それでは、またお会いできるのを楽しみにしています。
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