かけい臨床心理相談室

解決志向について「イライラしてしょうがないけど、どうしたら良い?」こんな質問にカウンセラーはどう答えるのか?

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臨床心理士  カウンセラーっぽくないカウンセラーと言われることが多い チェブラーシカに似ていると言われることがある 似ていないと言われることもある 時間空間的なおっちょこちょいである
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気持ちがイライラしてしょうがない、という相談について

先日、ある先生より、自分が担任している中学生の女子生徒が連絡ノートに

 

「気持ちがイライラしてしょうがない、どうしたら良いのしょうか?」

 

と書いていたようで

 

「彼女にどんなアドバイスをしたらいいでしょうか?」

 

と尋ねられました。

 

 

みなさんだったらどんなふうに答えるますか?

 

スクールカウンセラーとしての対応

 

あくまで僕の場合ですが

 

①「そりゃ苛々するのは嫌な気持ちだね」と感情の寄り添い

 

②「先生もそういうことあるよ、そういう時って一人で疲れちゃうね」とノーマライズ誰にでもあることだよね、とのメッセージ)の声掛けを、気持ちに配慮しながら(軽く扱われたと思われないように)サラッと自分の感情を込めて伝える。

 

③「そういう時はどうやって気晴らししてるの?何すると気が紛れる?先生もイライラする時があって、部屋で好きな漫画を読んでると忘れちゃうことがあるよ」と本人の自助努力や持っている健康な資源について振り返って(イメージして)もらう。

合わせて先生の実際の行動を例示する。

 

というように担任の先生に提案します。

 

これは通常のカウンセリングでも使っている流れなのですが、カウンセリングの場合だったら・・・

 

④「イライラしていない時はどんな時?」と例外的な状況についてイメージしてもらう。

 

⑤「イライラするんじゃないくて、本当はどんな感じで過ごしたいの??」と解決像をイメージしてもらう。

 

⑥その解決像に一歩でも近づくためのスモールステップを、これまで出てきた情報を合わせて、一緒に考える

 

というところまで段階を踏んで話していきます。

 

問題志向から解決志向へ

このやり方は「問題に注目するのではなく、解決に注目する」解決志向 Solution Focused Approach(SFA) という技法を基本とした対応方法です。

 

僕はスクールカウンセラーの仕事の中で、先生方や保護者とこういった類の相談の乗り方、話の聞き方について話しあったりもします。

もちろん「相手の困り事を解決したい」というところは同じなのですが、2つほど違うところがあるなと感じます。

 

何が違うかといえば「話の焦点を当てる場所」が違うんだなあと。

多くの場合は「なんでそんなにイライラするの?」と原因について問いかけるのではないでしょうか?

 

そして、その原因についても「◯◯はしない方がいいよ」と具体的な行動の変化や考え方の変化についてアドバイスをしようとしてしまう場合が多いのではないでしょうか?

 

でもそういう時って「でもでも」とかいろいろな出来無い理由を述べられて、結局その助言が受け入れられなかったりして、「じゃあ勝手にすれば!」ってなことになりがちですよね。

 

「せっかく助言したのに!」

「絶対こっちの方が正しいこと言っているのに!」

というように、助言した方が今度は相手に腹を立てて気まずくなったりしたことがありませんか?

 

アドバイスは相手の今を否定する行為

多くの人は気づいていないと思うんですが

 

実は多くの場合・・・・・・

 

アドバイスや助言は、基本的には相手の「今」を否定する行為

 

なんですよね。

 

親切心や善意みたいな顔をして今やっていることを否定されることほど、腹の立つ嫌なことはないですよね。

 

「カウンセラーに傷つけられた、もう二度と行かない」

 

なんていう話もたまに聞きますし、僕だってきっと何処かで失敗しているんです。

 

カウンセリングにまつわるニーズの変化

ほんの十数年前までは「とにかくアドバイスをせずに相手の気持を受け止める」ということで、ある意味カウンセリングの仕事が成り立つ場合もあったと思うのですが。

 

現在学校現場などで多職種と連携しながら働いている場合や、られた時間やリソースの中、少ない回数の面接で援助をしなければならない状況では「具体的な対応の助言」をすることが、専門職の技能として求められることが年々増えきていてます。

 

この助言にも、いくつか段階があって

 

相手の言葉や気持ちに耳を傾けるていねいな傾聴が出来ずに、すぐに「◯◯したらいい」というような助言(すでにその人自身がすでに取り組んでダメだったことや、現状として出来ないことを助言していることが多い)をしている、全く役に立たない害悪なレベル。

 

「とにかく子どもに気持ちに寄り添って」とか「愛情を注いでください」といった具体性がない一般論的な助言をしている害は少ないが期待はずれなレベル。

 

相談者の置かれている状況や心情を推し量って、または必要な情報を十分に収集した上で、相談者が具体的に取り組める助言ができるレベル。

 

長期的な見通しを持って、相談者の特性や志向に合った、相談者にとって受け入れやすく有意義な提案を、相談者と一緒に作り上げることが出来るレベル。

 

と、だいたいこの四段階で分けて考えるのが現実的ではないでしょうか。

もちろんカウンセラーそれぞれの専門性の違いや(そもそも具体的な助言そのものをよ否定する考え方もある)、相談者との相性、面接場面の置かれた状況など、様々な要素が絡んでの助言です。

 

Kidsカウンセリングシステムの森俊夫先生

僕自身もいつも最良の助言ができているかといえば、けしてそんなことはないし、過去を振り返れば、少しずつ助言の質を上げる事に取り組みつつ、きっといろんな失敗をしながら、なんとかここまでやってきたという感じです。

 

そして医療現場からから学校現場に移り、先生方から「具体的な助言を!」とのプレッシャーを感じつつ、でも「そもそもカウンセラーが助言とかしてもいいの!?」と混乱していたときに、藁をもすがる思いで研修に通った吉祥寺にあるKIDSカウンセリングシステムの森俊夫先生が3年前に亡くなられました。

 

森先生に会って、臨床心理の世界が一気に広がったと感じている僕なのですが、先日、森先生の対談集

 

森俊夫ブリーフセラピー文庫③
セラピストになるには──何も教えないことが教えていること

森 俊夫ほか著

http://amzn.asia/9QEAcac

 

が、遠見書房より発売されました。

 

いつもとちょっと違う臨床や、どんな場面でも自分も相手も活かすアイデアやものの見方について興味のある方は、ぜひ読んでいただけたらと思います。

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