【本】じっと座っていることができず、すぐに離席してしまう子への対応「<発達のつまずき>から読み解く支援アプローチ」を読む
学苑社から出版されている「発達のつまずきから読み解く支援アプローチ」という本があります。
著者の川上康則先生は、臨床発達心理士で特別支援学校の先生をされている方です。
スクールカウンセラーとして働く場合に、教師や保護者からの、子供の対応についての具体的な助言を求められる場面がままあります。
僕自身は、コミュニケーションの問題として介入していくようにしているのですが、実際には「発達のつまずきへの対応の知識があればなあ」と思うことが多かったのですが、なかなかピタッと来る本に巡り会えずにいました。
そして本を読んで知識は増えても、それを具体的に現場で活かす、というところまではなかなか到達できずにいました。
そんな時に、SNS上で川上先生の言葉や具体的対応の数々に出会い、「これや!」と思って買ったのがこの本です。
例えば、この本の元になった、学びの場.COMの教育つれづれ日誌では、「じっと座っていることができず、すぐに離席してしまう子」から読みとれるサインというタイトルで、じっと座ってられない子に対しての、下記のようなアセスメントを行っています。
私は、座っている姿勢が維持できない背景には、 (1)バランスの崩れを感じ取る感覚がうまく働いていないため、姿勢の維持や調整に気を配りづらい。 (2)身体の筋肉の入れ方や、関節の動きを感じ取る感覚がうまく働いていないため、体の動かし方の細かい調整が難しい。 といったつまずきがあるのではないかと分析します。
学校の先生の多くは、「だらしない」や「落ち着きがない」として「意思」や「心」の問題として扱いがちだと思いますが、川上先生は子供の発達の知見に基づいた、フェアなアセスメントを行っています。
そして、それに対する具体的な支援策についてはこんな風に書かれています。
離席が多い子であっても、常に「不適応」なのではないと思います。短い時間だけなら集中できる、得意な科目のときには他の科目より乗り気、楽しみな給食の間は落ち着いているなどの様子を見せてくれると思います。45分まるまる集中させようと考えず、5~10分のまとまりを作って「適応」しやすい授業にしてはいかがでしょうか。
「短時間集中繰り返しタイプ」の授業を心がけている先生方には共通の特徴があります。
(1)1枚にまとめられるプリントでも、あえて小プリント4枚くらいに分ける。(1回の作業時間を短めに設定できる。)
(2)動きたくなってしまう子に、教材配布などのお手伝いの役目を設定する。(さりげなく動いてよい時間が設けられている。)
(3)教科書の必要な部分だけを小分けにプリントにして配布する。(読む分量を少な目に設定する。)
(4)「○分まで頑張ろう」と、終わりの時間を事前に示す。(見通しを持たせる。)
具体的かつ、子供の不適応の中に例外を見つけ、そこを膨らましていくアプローチでもあるかと思います。
特に若手のスクールカウンセラーにとっては、学校の中で教育の専門家たる先生方にコンサルテーションをすることというのは、なかなか難しいことかと思います。
発達のつまづきがありそうな子について、学校の先生から助言を求められた時に、ついカウンセリングをしてなんとかしなければ!と思うこともあるかもしれませんし、先生の方から「この子はなにかあると思うのでカウンセリングを」といったようにお願いされることもあるかもしれません。
そんな時に、「もっと勉強しておけばよかった!」と思うわけですが、まずは川上先生のこの本を読んで、生活の中で、工夫でその子の適応的な部分が引き出せるようなアプローチについて勉強を、、、、(僕が)していきたいと思います。
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