解決志向に基づいた、学校の先生や保護者へのコンサルテーションの1例を紹介します
コンサルテーションの具体的な方法について
スクールカウンセラー(SC)をやっているときの学校の先生や保護者へのコンサルテーションについて、気がついたらこのようなやり方をしているな、と気づいたのでちょっとメモっておきます。(基本は解決志向というやり方に基づいています)
保護者面接や学校の先生へのコンサルテーションで基本的にやっていることです。
①とにかくねぎらう、絶対ねぎらう。
②本当はどうしたかったのか、どんな関係を望んでいるのか、今は何がしたいのか、解決像に近いものについて尋ねてみる。
③解決像に近づくために役立ちそうなこと、すでにある例外などについて観察課題を出す。
④観察課題で見つかったリソース的なものや例外について確認、それがより子供や保護者、先生にとってなにかプラスが増えるような関わりについて話し合う。
⑤関わりの評価(やってみてどうだったか振り返る)を行う。
この①〜⑤を繰り返せば繰り返すほど、コンサルティ(ここでは保護者や先生)もコンサルタント(SC)も子供についての理解も介入の精度も上がるっていきます。
エンパワメントが大事
よくあるパターンとして例示してみます。
「子供が学校で無理をしすぎて元気がなくなっていることが何らかの問題行動につながっているのではないか?」みたいな仮説がある場合。
学校か保護者かではなく、学校の先生も保護者も、どちらもその子に対してエンパワメントできるようにコーディネートできるのが当然ながら望ましいですよね。
でもどっちも疲弊していたりするから、子供をエンパワメントするだけでなく(する前にと言ってもいい)関わっている大人を十分ねぎらってエンパワメントする必要がある場合がほとんどです。
ここを抜かして理屈上正しい(けど役に立たない)こと「子供の気持ちを〇〇」とか綺麗事を言ってもうまく行かない。
SCがそういった綺麗事を言った場合、コンサルティは大抵「わかっとるわい!」と思いつつ「そうですねえ」と悲嘆に暮れた顔で相槌を打たせてしまうことになってしまいます。
「コンサルティに気を遣わせてどうする!元気なくなるわ!」という話です。話がそれました。(善意のつもりでそういうことやる人はSCに限らず多いですよね)
コンサルテーションでは、コンサルティがエンパワメントされなかったら、どんな正しいことを言っていても「大失敗」ですのでご注意ください。
仮説の通り「元気がないのをなんとかしたい」をコンサルティが採択するのであれば、リラックスしている時間や楽しそうにしている場所、関わりについて観察してくださいという「観察課題」をお願いします。
保護者は家庭、担任なら学校生活の中で目を凝らしてもらう。実際には観察せずとも考えてくれるだけでもok、それだけでも子供との相互作用の中で小さな違いが出てきます。
余談
例えば話をする中で、違った仮説やコンサルティーのやりたいことが出てきたら、それをできるだけ活かすというか飛びついてもいい場合が多いです。(その時点で勝ち確なことも)大人の主体性も大事。コンサルティのコミットメントが上がるなら(子供の+が見込めるように)なんでも取り入れる姿勢で。
コンサルティが前のめりになることがどれだけ重要なことか、ねぎらいながら話をじっくり聞くことが、結局はこういうところで効いてきます。自分のことを理解してくれる人となら人はいくらでも自分の力が出せる。史記の刺客列伝で子譲もそう言ってるし。協働の一面ってそういうとこがあると思います。
観察課題からの介入案
観察課題で得られた情報、例えば「一緒にでテレビ見てるときはいい顔」「掃除は頑張る」「マンガ読むときは真剣」とかなら、それが子供の元気やリラックス、喜びが1割増しになるために何ができるか一緒に検討する。
例えばテレビ見てたらやめなさいではなく自分から横に座って楽しむとか、
「掃除めちゃ頑張ってるの見てるからね」となにかの折に子供にこそっと(何も考えず皆の前で褒めるとか先生やりがちだけど状況見てやるが吉)伝えるとか、マンガの内容について興味持って質問してみるとか、そんなことでOKなので具体的な行動に落とし込んでやってもらって、どうなるか観察してもらいます。(これが⑤の評価に繋がります)
⑤の評価といっても、子供の嬉しい表情が出たり、普段話せない話が話されたり、なんだか小さな変化があれば続行くらい。やってる方の気付きが大きいので、そちらを丁寧に聞き、共有することが重要です。
(これが重なることがコンサルティの大きな変化になるし、そこがSCの根本なことも。コミュニティ視点をいつも持ち続けましょう)
評価をした上で①ねぎらうに戻り繰り返します。
もし⑤の評価で全然うまくいかないのだったら、目標設定が間違ってる可能性が大きいです。
以下の記事をご覧ください。
目標を小さく具体的にもそうですが、そもそも何のため?何が大事かとメンバーで問い直す、話し合うことでまた協働の体制が強まっていきます。
上記のブログもぜひご覧ください。
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