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リアリティーということについて考えてみました

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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子どもの認識している世界のリアリティーは想像以上に曖昧?

リアリティーというか、現実の認識の仕方は、人それぞれだいぶ差があることについてよく考えています。

 

子供の頃は、意外と曖昧な現実認識で、たくさんの「勘違い」を抱えながら生きていたなと思います。

例えば、僕は静岡に住んでいたので高速道路は「東名高速道路」以外はないと思っていたり。

(後々、中央道や九州の高速道路があるのを知って驚いた)

そもそも「東名高速道路」は「透明高速道路」だと思っていたり。

「なぜ、透明高速道路なのに透明じゃないんだろう?」と日がな考えていたり。

 

静岡県の袋井市の北の方に山梨という地名があるのですが、子供の頃は「どうもその山梨というのが山梨県で、昔、武田信玄はそこにいたんだな」なんて勝手に「すげーな」と納得していたり。

地下鉄は東京にしかなくて、市電は広島にしかないと思っていたり。

思い込みからのつじつま合わせ⇒アイデア

「思い込み」というか、少ない知識や体験から勝手に推測して辻褄を合わせようとすることって、ありますよね。

自分の知識が増えたり、活動範囲が広まったりすることで。

「え!?知らんかった!」

と驚く度に、自分の持っている世界のリアリティーが広がり、構造を持ったものになっていったなと。

東京と名古屋をつなく道路だから「東名」という名前がついていることに気がついた時には、「だからどこも透けていなかったのか・・・」と妙に納得したりしました。

そして「名阪は大阪と名古屋か!ということは名神は名古屋と神戸!」とあるパターンに気づいたり。

「信越は新潟と長野??なんで??」みたいな新たな謎ができてきたり。

その人ならではのリアリティーの構築

大人でも、関西以西の人は名古屋より東の地理が曖昧だったり、東北の人は東京より西があやふやだったりしますよね。

その人の生活経験や関心の幅によって、リアリティーの濃いところと薄いところがあるなあと感じています。

ネットの世界にリアリティーを持っている人は、きっとネットの世界のことを詳しく、そしてわかりやすく語れることでしょう。

料理の専門家はその料理の方法や、材料となる野菜や肉のこと、新鮮なものの選び方や仕込みの手順について、事細かく話せるでしょう。

臨床家にとってのリアリティーとは?

では臨床家やカウンセラーにとってのリアリティーとは何か?ということですが。

臨床家は、目の前の人の価値観や信念、今の困っていることや心の動き方、行動の癖を理解することや、時間軸も取り入れて、その人の生き方が、どんな風に今のその人の過去や過去の対人関係と繋がっているのか?というところにも繋げて、その人のことを理解して、支援に活かそうとすると思います。

これはある意味、その人の心的現実について、掘り下げてその人のリアリティーを理解していこうとする立場でしょう。

ではこれがソーシャルワーカーならば、その人の生活やその人を囲む社会的な状況、法的な立場についてのリアリティーについて、詳しく見ているに違いありません。

一つは、こういった一つのケースや状況についての見立てを、心理面、社会環境面、(できるなら身体面も)とを合わせて、どれだけ多角な面から見つめていけるか?というところが「どれだけリアリティーを把握しているか?」ということになるのではないでしょうか。

観の目

そしてスクールカウンセラーは、こういったケースについてのリアリティーだけでなく、自分を含めた今この場の状況のリアリティーも同時に把握することで、自分のポジションの中での最大限の力を発揮することが出来ます。

例えばケース会議なんてその最たるものでしょう

聞き上手は話し上手? その3(ケース会議編)

 

そして、実際のカウンセリングの場面においても、俯瞰した視点から 「自分と相談者を含めたこの場で起こっていることを全体的に捉える」ことができて、初めて面接場面での相互作用やダイナミズムを捉えられるのではないかと思っております。

宮本武蔵の残した言葉に「見の目弱く、観の目強く」というものがあります。

目で見る観察と、相手の心の状態も含めて洞察する観察と両方しないといけないよ、という言葉だと捉えていますが、自分の目、と相手の目、に加えた第三の目で上方から俯瞰して相互作用を観察するという意味合いを含めて考えた方が臨床的には、特にスクールカウンセリングでは有用なのではないかと思います。

(これをどうやって広げていくか、深さを作っていくか?家族単位クラス単位、会議の参加者全員とか、自治体や会社、地方、国家、文化、生き物レベルまで、というのが精神科医の神田橋條治先生のおっしゃっているフラクタル構造と言う考えを理解するのに必要なのかなぁと思っています。)

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