そもそもスクールカウンセラーと学校の先生とは出発地点が違うんだからさ
出発点が違うということ
だいぶ例外の多いステレオタイプな話だけど。
学校の先生になろうとする人の多くは、健康でエネルギーの高い、関心が外交的な人。
カウンセラーになろうとする人の多くは、繊細で思考や情報を重んじる、関心が内向的な人。
ってのが基本的な線で、その中でもいろんな人がいて、価値観押し付ける人や、外と内をうまく使い分けられる人、気持ちを考えるのが得意な人、苦手なひと、ポジティブな発想の人と慎重な人、もちろんいろんな人がいるけど。
その両集団は、始まりがそもそも随分違うところにおるし、違うところ前提のスタートであることを忘れていると、言わなくてもいい愚痴や、思うようにならないイライラを余計に感じてしまうんだろうな、と感じています。
違うからこそそこにいる意味がある
もちろん、違うからこそ一緒にいる意味があるし、逆に学校の先生方からも「なんでこれがわからないかな?」と、モヤモヤイライラされることこそ、めちゃ多いでしょう。
しかし、そのズレに気づかずに言いたいことを言いすぎたり、またはずれたまま仕事をしたりということが重なると、サッカーで言う「消えた状態」になるのはみなさん御存知の通りです。
カウンセリングをするための構造がはっきりしている職場ならば、そこに相談に来た方の対応に全力を尽くせばいいのですが、学校でそんなことをすれば丸投げされて御用聞きになってしまうか、もしくは浮いてしまって仕事がしにくい状態に成ってしまいます。
学校で児童生徒を指導し守る主体は教員です、なぜならいくらスクールカウンセラーが常勤であっても非常勤であっても、児童生徒の安全の責任について教員以上に引き受けることはありえないからです。
スクールカウンセラーは日本の学校教育という枠組みや、教員の持つ価値観に極力合わせながら、それでいて変な依存をされすぎず、御用聞きにならずに自分たちの生徒理解の方法やものの見方を少しずつ学校文化に溶け込ませていくという、非常に難しいミッションをその身に負っているのです。
なので、スクールカウンセラーはカウンセリングの中で、ある意味最も難しい応用問題のようなものと言えますし、カウンセラーとして機能する前提となる「学校文化という異文化と、いかに自らをすり合わせていくか?」ということについて、教えることが出来る臨床心理士はほとんどいないし、そこを教えられないまま現場に出ざるをえないのが、いまのスクールカウンセラーの現状ともいえるでしょう。
(僕の知っている限りでは、 KIDSカウンセリング・システム研究会の黒沢幸子先生と(故)森俊夫先生、そして高知大学の金山元春元春先生と家族心理.com家族心理.comを運営している生田倫子先生以外に知らないので、もし他にこんな人いるよ〜ってのがあったらコメンとか問い合わせで教えて下さったらめちゃ嬉しいです)
違うと思うこと、心が揺れることでの自己理解、他者理解
だから、今の状況でスクールカウンセラーとしていい仕事をするのって、ただ臨床心理学の知識やカウンセリングの能力があるだけじゃ駄目だし、その人のいる地域や学校によっては、非常に難しい立場に置かれているのが現状かと思います。
そもそもスクールカウンセラーは教師集団の中で基本1人だし、そのズレみたいなのや、なんとなくのモヤモヤが重なってきてエネルギーが削られてくることもあるので、よっぽど学校の外に想いを共有できたり話ができる仲間や、スーパーバイズでも勉強会でも、そのズレやモヤモヤをちゃんと言葉どたり、自己理解や他者理解に役立てられるように、そのズレやモヤモヤが生じる仕組みについても理解していくことが、とてもとても必要だと思います。
ズレやモヤモヤの内容や、相手や状況によっては難しかったりやたら時間のかかることもありますが、半年でも一年でもかかって、あん時のあれは、こういう、理由だったのかー?!って胸にスッと落ちる体験を繰り返すたびに、自己理解や他者理解だけでなく、臨床的な見立ての能力にもつながってくるのは明らかで。
だって、えらい遠くにいるお互いのことが理解し合えるようになってくれば、それは一つの大きな人間理解の振り幅になるので、実際の臨床でもいくらでも役に立ってくるんものなんです。
相手のことが理解できてくると、今度はどうしたら自分のことや、伝えたいことを相手に理解してもらえるかということについても考えやすくなってきます。
つまり、相互理解が少しだけ進みやすくなり、また臨床的には介入の筋道を増やしていくことになります。
4月からは、そんなこんなで悩んでいるスクールカウンセラーや教職員の相互理解の役に立つような、オンラインでのコンサルティング、もしくはスーパービジョンをスタートさせて行こうかと思っています。
千客万来!感謝!
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