【公認心理師資格試験対策講座】 ⑤情報の適切な取り扱い その3「インフォームドコンセントの重要性と連携」

の続き。
インフォームドコンセントは義務としての文脈で語られることが多い。
実は毎回の面接の中でも、さり気なく、当たり前のことのように積み上げていくことで、面談が安全で、無駄のないものに変わっていくという効果がある。
ここが何をする場所なのか?というコンセンサスを取る
僕は面接の最初に「今日ここではどんなことが話し合えたらいいですか?」と尋ねたり、あるいは脱線しかかった面接の途中で「そういえば、そもそも今日話したいことってどんなことでしたっけ?」と仕切りなおしたり、ということをよくしている。
つまりこちらから「インフォームドコンセント」としてお知らせ(インフォーム??)するだけでなく、所々で相手のニーズを確かめつつ、コチラの出来ることを伝え、限界設定をしていくといったことを合わせて「自分と相手の役割を規定していく」ということをやっている。
「動的なインフォームドコンセント」あるいは「相互的なインフォームドコンセント」と呼んでもいいのかもしれない。
信頼関係を築き上げるコミュニケーションとしてのインフォームドコンセント
支援者と要心理的支援者の間には、情報格差が常に起こっていると考えてもいいだろう。
医療や心理的支援において、支援の専門家なのだから、要心理支援者の役に立つためには多くの情報を持っていることは大事なことだが、そういった情報の格差構造は、知らず知らずのうちに権威構造を作ってしまったり、依存心を高めてしまったり、支援者に対する不信感を募らせてしまうことにも繋がることがある。
支援者側ができることを伝えるのみならず、その一回の面接の中での目的や役割を相互的に決めることには、要心理支援者の持っている力を認め、主体性を高めることにも寄与するという意味も含まれている。
本当の信頼関係やコミュニケーションは、要心理支援者と支援者が同じ土俵に立ってこそ、高まっていくことだろう。
連携とインフォームドコンセント
公認心理師資格では、「多職種連携」が出来ることが大前提とされているが、連携をするためには共通の「目標」と「相互の役割理解」が必須であろう。
そこでは医療の専門家や福祉の専門家のみならず「自分の問題についての専門家」である要心理支援者とも、当然連携をしていきたいところ。
形だけのインフォームドコンセントでとどまらず、自らの役割と限界設定を丁寧に言語化することは、連携の土台として確かに機能するものである。
インフォームドコンセントについて
まず、第1のフェーズにおいては、医療従事者側から患者の理解が得られるよ う懇切丁寧な説明が、あらゆる医療(検査、診断、治療、予防、ケア等)の提供に おいて必要不可欠であることが強調されるべきである。
この際、医療従事者から は医学的な判断に基づく治療方針等の提示を行うことが求められるが、患者の意 思や考え方に耳を傾け、それぞれの患者に応じたより適切な説明とメニューの提 示がなされることが必要である。
健康診断における検査や予防接種など保健分野においても十分な説明が必要で ある。
第2のフェーズにおいては、患者本人の意思が最大限尊重されるのが狙いであ って、患者に医療内容等についての選択を迫ることが本来の意味ではない。
また、 文書で患者の意思を確認することは、1つの手段として重要であるが、目的では ないことを理解する必要がある。
引用:インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会報告書
~元気の出るインフォームド・コンセントを目指して~
下記に続きます。