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国際ブリーフセラピー学会山形大会レポート「AIにカウンセリングはAIに駆逐されるのか?」&podcastはじめました

 

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臨床心理士/公認心理師 かけい臨床心理相談室代表/愛知学院大学特任講師 専門領域:ブリーフセラピー
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たまにはカウンセリングの話でもしてみようか。第0回 AIにカウンセリングはAIに駆逐されるのか?

今日からPodcastを始めてみることにしました。

タイトルは「たまにはカウンセリングの話でもしてみようか。」です。

今回は第0回。いわばプレ放送。内容は国際ブリーフセラピー学会山形大会主催シンポジウムについてのお話です。

なぜ急にPodcastを始めることになったのか。

今日はそんな話から始めてみようと思います。

普段聞かないのにラジオのmcに憧れて

僕は普段、それほどラジオを聴くわけではありません。

なのに、なぜか昔から「ラジオで喋る人」にちょっと憧れがありました。

特にこの仕事を始めてからは、「いつかラジオの相談コーナーみたいなところに、レギュラーで出られないかなあ」という密かな夢がありました。

そんな中、知人の先生からご縁をいただいて、あるラジオ番組に出演する機会がありました。

これが、とても楽しかった。

しかも収録後、MCの方から「内容が面白かったので、月1回くらいでレギュラー出演しませんか?」というお話までいただいたんです。

これはもう、長年の夢が叶うかもしれない。

ものすごく喜んでいたんですが……2、3日後、突然、

「この話はなしにしてください」

という連絡が来ました。

えっ、急になんなの??

返信しても既読にならない。

「いやいやいや。夢が叶うかも!と盛り上がった、この私の気持ちはどうしてくれるんだ」と(笑)。

結構ショックでした。

でも、そのうち、「これはもう、お前、自分でやれよってことなんじゃないか?」と思い始めたんですね。

だったら、自分でラジオみたいなものを始めればいい。

それが、このPodcastを始めた一つのきっかけです。

ブリーフセラピーをやっているけれど、実はユングもいる

僕は、家族療法やブリーフセラピーを専門にしています。

相談に来た人がどこへ行きたいのかを一緒に考えて、そこへ進むのを邪魔している悪循環を探す。

そして、「じゃあ、こんなことをやってみたらどうでしょう」と具体的な行動を考える。

次に会ったときに、「どうでした?」と確認して、また次の一手を考える。

そういう、かなり具体的なカウンセリングが好きです。

ところが。

普段あまり言わないのですが、僕のかなり真ん中のところには、実はユング心理学があります。

夢分析とか、コンステレーションとか、シンクロニシティとか。

大学時代にそういう心理学をかなり学んだこともあって、今でも臨床をしながら、

「なんか流れが来てるな」

とか、

「これとこれが同時に起こったということは、もう少ししたらグッと動くんじゃないか」

みたいなことを、内心では結構考えています。

もちろんクライアントさんにそんなことをそのまま言うわけではありません。

でも、自分自身に起きた出来事については、「なんでこんな理不尽な目に遭うんだ」とだけ考えるより、

「お前、いつまでグズグズしとるんや。自分でやれ、ということなんじゃないか」

と捉えたほうが、僕にはちょっと面白い。

ブリーフセラピー的に言えば、リフレーミングなのかもしれません。

そんなわけで、夢だったラジオ出演が突然なくなったことをきっかけに、Podcastを始めることになりました。

AIにカウンセリングはAIに駆逐されるのか?

今回参加していた学会では、AIとカウンセリングをめぐるシンポジウムがありました。

国際ブリーフセラピー協会学術会議

そこに東畑開人先生も登壇されていました。

今、AIに相談する人はかなり増えています。

僕自身もAIに相談しますし、僕のところに来ているクライアントさんから、

「AIに相談したら、こう言われました」

と報告されることも珍しくなくなりました。

そうなるとカウンセラーとしては当然、

「そのうち、この仕事はAIに駆逐されるんじゃないか?」

ということを考えます。

AIって、受容したり、共感したり、言葉にして返したりすることが、本当に上手なんですよね。

ロジャーズ的な応答なんかも、かなり上手にやる。

しかも、これからもっと上手くなっていくでしょう。

では、人間が人間にカウンセリングをする意味は、どこにあるのでしょうか。

情報処理としての心理療法と、実存としての心理療法

シンポジウムの中で、東畑先生がされていた話がとても印象に残りました。

僕なりの理解でまとめると、心理療法には「情報処理」という側面がある。

認知行動療法は分かりやすいですし、僕がやっているブリーフセラピーにもそういうところがあります。

相手から情報を得る。

何が起きているのかを整理する。

問題を維持しているパターンを見つける。

そこに別の見方や行動を提示する。

そして、その結果をまたフィードバックしてもらう。

そう考えると、かなりの部分が「情報のやり取り」です。

そして、情報処理ということであれば、AIはものすごく強い。

膨大な知識を持っていて、言葉を扱えて、こちらが与えた情報から何らかの回答を返してくる。

だったら、情報処理として行われている心理療法の一部は、これからAIがかなり担えるようになるのかもしれない。

一方で東畑先生は、精神分析のような心理療法について、もう一つ違う側面から話されていました。

そこでは単に情報をやり取りしているだけではない。

「あなたと私が、今ここにいる」

ということ自体が、心理療法の重要な部分になっている。

つまり、「実存」です。

相談する人がそこにいて、カウンセラーもそこにいる。

二人とも、それぞれの人生を生きてきた人間として、その時間、その場所にいる。

そこで言葉が交わされる。沈黙が起こる。相手の表情を見る。何かを言おうとしてやめる。こちらも、その場で何かを感じる。

心理療法というのは、単に「適切な言葉を入力すると、適切な言葉が返ってくる」というものではなくて、二人の人間が、同じ時間を生きている出来事でもあるし、それこそが本質なんだと。

AIとの比較をしていたはずなのに、だんだん「そもそも心理療法って何なんだろう?」という話になっていくんですね。

ブリーフセラピーは、あと5年、10年生き残れる?

もう一つ面白かったのが、ブリーフセラピーの話です。

AIに相談すると、基本的には「メジャー・オブ・メジャー」の回答が返ってきやすい。

たくさんの人に支持されていて、一般的で、無難で、大きく間違いにくい回答です。

一方、ブリーフセラピーや家族療法には、ときどき、

「そこを見るの?」

「そんなこと聞くの?」

「そこを変えるの?」

という、少し変なところがあります。

シンポジウムで指定討論者だった生田倫子先生からも、ブリーフセラピーはマイナーだからAIが最初には選んでこない、だから「あと5年、10年は生きられるぞ」という趣旨のお話があって(笑)。

僕も、これは少し分かる気がします。

AIに相談すると、「そりゃそうだよね」という回答は非常に上手です。

でも臨床では、「そりゃそうだよね」を実行に移すのが大変なんです。

一般論として正しいことではなく、その人、その家族、その状況だからこそ成立する、ユニークな一手が必要になることがあります。

そこにブリーフセラピーの面白さもあるのかもしれません。

もちろんAIもどんどん変わっていくので、これがいつまで人間だけの領域なのかは分かりません。

だからこそ、考える価値があります。

「AIは死なない」

そして、もう一つ。

会場にいらっしゃった精神科医の先生がおっしゃっていた言葉が、僕には非常に響きました。

AIは死なない。

人間とAIの違いを考えたとき、

人間は生まれて、そして死ぬ。

そこに、人間同士が話をすることの意味があるのではないか、という話でした。

僕はこれを聞いて、ピアカウンセリングのことを考えました。

「ピア」というのは仲間という意味です。

例えば、不登校の子どもを育てた親だからこそ、不登校の子を持つ親に分かることがある。

同じ病気を経験した人だからこそ伝えられることがある。

自分と同じような苦しみを経験した人に話を聞いてもらうことで、

「この人なら、少なくともこの部分は分かってくれるかもしれない」

と思える。

これはとても大切なことです。

一方で、僕ら専門家は、相談に来る人とまったく同じ経験をすることはできません。

すべての病気を経験することもできない。

すべての喪失を経験することもできない。

すべての家族関係を経験することもできない。

だからこそ、その人固有の経験を理解しようとする。

自分は同じ体験をしていないけれど、

「あなたに何が起きているのかを、私は分かろうとしている」

という人間が、その場にいる。

そこにカウンセリングの一つの意味があるのだと思います。

そして、もっと大きなところまで広げてみると、

僕も、相談に来る人も、いつか死ぬ。

だったら、

「最後にはみんな死ぬ」というところでは、全員ピアなんじゃないか。

そんなふうにも思ったんですね。

同じ有限な時間を生きている人間同士として、僕らはカウンセリングルームで出会っている。

そう考えると、僕らはもう少し、相談に来た人のそばにいられるんじゃないか。

AIについて考えるシンポジウムだったのに、僕の中に残ったのは、

「人間が人間の話を聞くって、そもそも何なんだろう」

という問いでした。

これは、このPodcastでもこれから何度も考えてみたいテーマです。

ちなみに、ホテルの朝食がおいしすぎました

ただですね。

この素晴らしいシンポジウムの前半を、僕は少し聞き逃しています。

なぜか。

ホテルの朝食がおいしすぎたからです。

「もうちょっと食べたいな。カレーも食べたい。ラーメンも食べたい。芋煮も食べたい。コーヒーもゆっくり飲みたい」

なんてやっていて、バスを一本見送ったら、次のバスがめちゃめちゃ後だった(笑)。

でも今の時代は素晴らしいですね。

オンデマンド配信があります。

ちゃんと見直して、AIとカウンセリングの問題については、またこのPodcastでも考えてみたいと思っています。

というわけで、第0回でした

こんな感じで、このPodcastではカウンセリングについて、のんびり話していこうと思います。

これからカウンセリングを学びたい人にも分かる話。

「カウンセリングって何してるの?」という人にも面白い話。

そして、ときどき後半では、すでにカウンセラーとして働いている人に向けて、もう少しマニアックな臨床の話もしてみたい。

家族療法、ブリーフセラピー、トラウマ、学校臨床、催眠、AI、予測処理。

たぶん、あっちへ行ったりこっちへ行ったりします。

それも含めて「たまにはカウンセリングの話でもしてみようか。」くらいの気持ちで、お付き合いいただけたら嬉しいです。

普段、人の話を聞いてばかりいる仕事なので、人に自分の話を聞いてもらえるのが、実はめちゃめちゃ嬉しいんです。

第0回からここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

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